1988 Fiscal Year Annual Research Report
凝縮相での電離性放射線によるイオン化に対する分子構造依存性の研究
Project/Area Number |
63470004
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
志田 忠正 京都大学, 理学部, 教授 (60025484)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
百瀬 孝昌 京都大学, 理学部, 助手 (10200354)
加藤 立久 京都大学, 理学部, 助手 (80175702)
赤坂 一之 京都大学, 理学部, 助教授 (50025368)
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Keywords | レイリー散乱 / ブリルアン散乱 / 濃度ゆらぎ / 溶液 |
Research Abstract |
本年度は本研究の主要設備の一つであるレーザー分光系のたち上げとその性能テストに重点をおいた。すなわちファブリーペロー干渉分光器を用いてアルゴンイオンレーザーのモード単一性を確認した。さらにこの単一モードレーザー光を用いて干渉計の分解能を調べた。その結果、エタロン板の間隔が10mmのとき600MHz、同じく60mmのとき最高60MHzの分解能があることを確認し、目的とする溶液からのレイリー、ブリルアン散乱の分光測定に十分な性能をもつことがわかった。さらにより高い分解能を得るため、干渉図形をパーソナルコンピューターに取り込み、データ処理するプログラムを作成した。このプログラムはヒルベルト・シュミット法に基くもので雑音の除去や線形の復元に非常に有効である。しかしこの方法は一般的には計算時間が長いという難点があるのでこれを克服するためC言語を用いたプログラムを完成した。現在、実際の溶液からの微弱散乱光を十分なS/N比で観測できるように光学系の調整を行っている。また、温度変化による信号のゆらぎを防ぐため試料温度を±0.1°の範囲で安定させるための装置・セルも作製した。 次年度は本年度の準備の上にたって本格的に研究を推進する予定である。特に二成分溶液の濃度ゆらぎに関連した実験を主体にしていく。二成分溶液系では成分比の変化に伴って溶液の部分構造とその寿命が変化するので種々の組合せの二成分溶液についてレイリー・ブリルアン散乱の濃度および温度依存性を測定する。その結果の解析にはKirkwood-Buffの理論を用いる。より正確な解析には内部電場の補正が必要であるが、この点については現在のところ満足できる理論がないのでこの点の改良についても目下、作業を進めている。 なお、本研究は今年度より新たに開始したものであるため論文発表などの業績は次年度以降になる。
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