1988 Fiscal Year Annual Research Report
溶融アルカリ水酸化物の中性子回折を主とした構造解析
Project/Area Number |
63470008
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
岡田 勲 東京工業大学, 総合理工学研究科, 教授 (60011582)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
巾崎 潤子 東京工業大学, 総合理工学研究科, 教務技官 (10133331)
岡崎 進 東京工業大学, 総合理工学研究科, 助手 (70194339)
小田原 修 東京工業大学, 総合理工学研究科, 助教授 (90185611)
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Keywords | 溶融塩 / 水酸化物 / 中性子散乱 / ラマン散乱 / 計算機シミュレーション / 構造 / 回転緩和 / 振動緩和 |
Research Abstract |
1.昭和63年度購入の設備備品類は、すでに実験に用いられ順調に稼働している。 2.中性子回折実験で従来用いられてきたTi-Zn合金、SiO_2がラスセル等に対し非常に腐食性の強い溶融アルカリ水酸化物は、耐食性の良好なニッケル金属を用いたセル(肉厚0.2mm)に収容し、回折実験を行った。結晶質セルに由来するブラッグピークに関しては、高精度測定に基づきこれを除去し、これらにより、LiOD、NaOD、KODといった一連の溶融アルカリ水酸化物の構造因子を得ることに初めて成功した。その結果、水酸化物イオンの結合距離は0.98Aであり、対イオンの種類によらなきいこと、水酸化物イオン間での水素結合は存在しないこと、また構造因子をフーリエ変換して得られる動径分布関数においては、金属イオン-酸素間の相関が金属イオンの大きさに従って様々な値をとり明確なピークを有する一方で、水酸化物イオンの回転に基づいて、金属イオン-重水素間の相関はより小さく、そのピークは分離しないこと等が明らかとなった。よた詳細な構造解析については、計算機シミュレーションの結果ともあわせ現在実施中である。 3.ラマン分光においては、白金線リング下に試料を液滴として保持することにより、容器の腐食を問題とせず測定を可能とした。一連の溶融アルカリ水酸化物に対し測定を行ったが、水酸化物イオンは他の硝酸塩やチオシアン酸塩等と比較して、振動緩和及び回転緩和ともに非常に速いことが見出された。溶融水酸化物ラマン分光の研究が行われたのはこれが最初である。 4.計算機シミュレーションに関しては、LiOHに対するペアポテンシャルをab initio MO法に基づいて決定し、これを分子動力学計算を行いながら改良し、予備的計算を終了した。
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[Publications] Akira,Endoh: Z.Naturforsch.43a. 961-964 (1988)
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[Publications] Chao-cheng,Yang: J.Electrochem.Soc.136. 120-124 (1989)
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[Publications] Susumu,Okazaki: J.Chem.Phys.90. (1989)