1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63470009
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田仲 二朗 名古屋大学, 理学部, 教授 (70022514)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田仲 智津子 名古屋大学, 理学部, 助手 (80188309)
清水 正昭 名古屋大学, 理学部, 助手 (10154303)
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Keywords | 単結晶の分光 / 励起子 / 電荷共鳴状態 / 高温超伝導 |
Research Abstract |
微少な単結晶の反射率を、低いエネルギーの遠赤外部から、可視・紫外部の広い範囲まで測定出きるように、顕微鏡と、フーリエ型干渉計とを組合せて、反射率を正確に測定出きるように、顕微赤外分光計の製作を行った。これにより得る反射率を用い、クラマース-クローニッヒ変換を行うことによって、各単結晶の特定の面について、物質の光学定数を決定出きるようにする。次年度には、製作中の装置が完成し、新しい測定が可能になる。次に試料の温度を変化して、低温でのスペクトルの変化が容易に行えるように、クライオスタットの整備を行った。これにより、50μ×50μ程度の、微少な単結晶の面について、スペクトルの測定が可能となる。測定を行う試料として、従来の有機結晶の場合には、溶媒からの再結晶法により結晶を得てきたが、新たに、酸化物超伝導体の単結晶を得るために、電気炉などを整備した。 実際の測定としては、酸化物超伝導体、Ba_2EuCu_3O_<7-δ>、Ba_2YCu_3O_<7-δ>、Bi_2(Ca,Sr)_3、Cu_2O_<8+δ>の結晶について、赤外部に、重要な励起状態が存在することを、明らかにした。すなわち、前二者の結晶については、b軸方向に0.3eVの強い吸収率があり、これがCuOの一次元鎖に由来するものであること、その強度が、酸素量により敏感に変化することが分った。さらに、a軸、b軸の両方の方向に活性の、赤外部反射帯が、0.1eV附近に存在することが示された。後者の結晶は、CuO_2の二次元面しか、含まれていないので、一次元鎖によるものは見出されないが、0.1eVから0.5eVにかけて、ブロードな、反射帯が存在し、これが、酸素の作る、エネルギー帯間の、遷移であることが、明らかになった。これらの結果は、高温超伝導の、メカニズムを明らかにする上で、重要なものと考える。有機色素の結晶においても、電荷共鳴吸収帯が、新たに、見出された。
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[Publications] 田仲二朗,島田道宏,水谷宇一郎,長谷川正: Physica C. 153. 651-652 (1988)
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[Publications] 田中二朗,神谷幸司,鶴見重行: Physica C. 153. 653-654 (1988)
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[Publications] 田中二朗,神谷幸司,清水正昭,島田道宏,田仲智津子,尾関博之,安達健五,岩橋克聡 他: Physica C. 153. 1752-1755 (1988)
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[Publications] 佐野則道,清水正昭,田仲二朗,田隅三生: J.Raman-Spectra. 19. 395-404 (1988)