1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63470011
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大澤 映二 北海道大学, 理学部, 助教授 (40001763)
|
Keywords | 改良カープラス式 / NMRビジナル水素-水素結合定数 / 環状配座 / 新アルゴリズム |
Research Abstract |
研究実施計画に従ってまずカープラス式の改良を行った。まず従来発表されていたアルトナ、パヒラー等の改良式を検討し、コサイン函数の種類が少な過ぎること、また置換基の電気陰性度効果を表すために一貫してハギンスの原子電気陰性度が用いられていたのは不合理であることに注目した。ついで他の因子を調査し、置換基のβ効果、構造効果、空間経由相互作用の三つを導入すること、および置換基パターンの非加成性を考慮することにした。また電気陰性度としてはマレーの基電気陰性度を用いることにした。標準データセットとして各種の置換基を含む有機分子のビシナルH/H結合定数198種を集めた。最初に15項、37助変数を含む式を作り、パラメータを標準データセットを最も良く再現するように最適化したところ誤差の標準偏差値として0.329H_3を得た。パラメータ間の相関排除、効果微小な項の除去を行った結果、最終的の12項、パラメータ13から成る一次式を得た。この改良式による誤差の標準偏差は0.33Hzであって、ここで用いた標準データセットに対する他の式の誤差標準偏差はカープラスの元の式、パヒラー、アルトナ、ガンドウールの各式にたいしてそれぞれ1.056、0.730、0.835、0.885Hzであった。これから今回導いた新しいカープラス改良式は従来に比べて2倍以上の精度を有することが明らかとなった。 ついで力場の改良を行う前に環式のフレキシブル分子の係数的配座発生方式を考案したので、今年度はこの新アルゴリズムの開発を行った。ボアルゴリズムは環のコーナー原子を単純にフリップするだけであるが従来のランダム発生法に比べて約5倍早いことが明らかになった。予備テストとしてシクロテトラデカンまでのシクロアルカンの全安定配座を求めたところ、そのほとんどがこれまで報告されたことのない新配座であった。
|
Research Products
(2 results)