1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63470012
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
奈良坂 紘一 東京大学, 理学部, 教授 (50016151)
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Keywords | キラルなチタン触媒 / 不斉Diels-Alder反応 / 分子内不斉Diels-Alder反応 / 分子内不斉エン反応 / 不斉ヒドロシアノ化反応 / 速度論的光学分割 / 不斉エステル化反応 |
Research Abstract |
すでに我々は酒石酸から容易に誘導することのできるキラルなレチ-ジオールとジクロロジイソプロポキシチタンを混合することにより容易に調製することのできるキラルな環状チタンアルコキシドが、不斉Diels-Alder反応の有効な不斉触媒として働くことを見い出している。 本年度はまず、このキラルなチタンアルコキシドが分子内不斉Diels-Alder反応にも有効であり、触媒量のチタンアルコキシドを用いるだけで種々の有用な合成中間体を高エナンチオ選択的に合成できることを見い出した。また、このキラルなチタン触媒は、Diels Alder反応にみられず、分子内不斉エン反応にも有効なルイス酸として働き、シクロヘキサン誘導体、シクロペンタン誘導体をそれぞれ90%ee前後の高い光学収率で合成することができた。さらにこのキラルなチタン触媒は、シアノトリメチルシランをシアノ化剤として用いるアルデヒドの不斉ヒドロシアノ化反応にも有効であり、反応条件を変えることにより、脂肪族・芳香族アルデヒドいずれの場合にも対応する光学活性シアノヒドリンが高い光学収率で得られることを見い出した。 又、テトライソプロポキシチタンとキラルなレチ-ジオールを混合して調製したキラルなチタンイソプロポキシドは、ラセミのカルホン酸2-ピリジンチオールエステルの不斉エステル化剤として有効であり、カルボン酸の速度論的光学分割が高エナンチオ選択的に進行することを見い出した。しかもイソプロパノール存在下、触媒量のキラルなチタンイソプロポキシドを用いるだけで、エステル化が進行し、ラセミカルボン酸の触媒光学分割が当量反応の場合と同様に高い光学収率で行えることがわかった。
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[Publications] K.Narasaka: Chemistry Letters. 1609-1612 (1988)
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[Publications] H.Minamikawa: Bull.Chem.Soc.Jpn.61. 4379-4383 (1988)
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[Publications] K.Narasaka: Accepted for publication for J.Am.Chem.Soc.