1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63470015
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
成田 吉徳 京都大学, 理学部, 助教授 (00108979)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立川 登 京都大学, 理学部, 助手 (30025423)
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Keywords | 分子認識 / 不斉酸化 / チトクロームPー450 / 不斉ポルフィリン / 光合成 / 酸素発生 / 対面型マンガンポルフィリン二量体 / カタラーゼ活性 |
Research Abstract |
本年度は次の二点に焦点を絞り研究を行った。1.高度な不斉分子認識能をもつモノオキシゲナーゼのモデル化。酵素反応における基質分子認識は重要な問題であるにも拘らず、酵素反応にみられる様な分子の化学変換まで含めた人工系の研究は数少い。これは、化学変換まで組込むには多くの制約を克服しなければならないことによる。本研究においては、チトクロームPー450の示す高度な分子認識/化学変換能をモデル化するため、特に厳密な認識が要求される不斉認識を採り上げ、プロキラルなオレフィンの触媒的不斉エポキシ化の研究を行った。このための酵素モデル化合物として、ポルフィリン両面に不斉ビナフタレンを全てエーテル結合により強固に固定した"Twin coronet"ポルフィリンの合成に成功した。CDスペクトルによりこのポルフィリン上には極めて強固な不斉場が構築されていることが明らかとなった。次に各種オレフィンの不斉エポキシ化反応をこの鉄錯体を用い行ったところ触媒分子とπーπ相互作用が可能な基質では最高74%eeで不斉エポキシドが生成した。この触媒はこの様な酸化条件下でも高い耐久性を示すことが判明したので、次年度以降、この不斉収率の向上と高活性の立証に向けて更に展開する予定である。2.光合成反応中心の水の酸化酵素のモデル化。4核マンガン錯体が植物の光合成反応中心に含まれ水の酸化による酸素発生を触媒していることが知られている。この反応機構解明のため、対面型マンガンポルフィリン二量体を各種合成し、そのカタラーゼ活性を測定したところ、特定の距離にマンガン二原子を固定した二量体において、単量体ではみられない高活性を示し、効率良く酸素発生を触媒することを見い出した。これは酵素モデルとして極めて有効であり、現在その詳細な反応機構の解明に向けて研究を継続している。
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Research Products
(12 results)
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[Publications] Y.Naruta: Chem.Lett.135-138 (1988)
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[Publications] James P.Collman: Bull.Chem.Soc.Jpn.61. 47-57 (1988)
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[Publications] Y.Naruta: Chem.Lett.225-228 (1988)
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[Publications] Y.,Naruta: J.Org.Chem.53. 1192-1199 (1988)
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[Publications] Y.,Naruta: Bull.Chem.Soc.Jpn.61. 1815-1817 (1988)
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[Publications] Y.,Naruta: J.Chem.Soc.Perkin Trans.1. 1143-1148 (1988)
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[Publications] James P.,Collman: J.Am.Chem.Soc.110. 3477-3486 (1988)
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[Publications] Y.,Naruta: Tetrahedron. 45. (1989)
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[Publications] Y.,Naruta: Chem.Lett.(1989)
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[Publications] Y.,Naruta: J.Am.Chem.Soc.110. (1989)
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[Publications] Y.,Naruta: "The Chemistry of the Quinonoid Compounds, Vol.2(S.Patai and Z.Rappoport,Eds.)" John Wiley & Sons, 241-402 (1988)
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[Publications] 成田吉徳: "有機化学実験のてびき1(後藤,芝,松浦監修)" 化学同人, 100-102 (1988)