1989 Fiscal Year Annual Research Report
アブラナ科植物の産生する新奇含硫ファイトアレキシンの生物有機化学的研究
Project/Area Number |
63470019
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高杉 光雄 北海道大学, 理学部, 教授 (70000833)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
門出 健次 北海道大学, 理学部, 助手 (40210207)
|
Keywords | アブラナ科植物 / 含硫化合物 / ファイトアレキシン / 生合成 / カブ / キャベツ / HPLC分析 / 生理活性物質 |
Research Abstract |
1.ハクサイ、ダイコン、キャベツから得られた13種の含硫ファイトアレキシンの生合成を調べるために、これらの化合物を一回のHPLCで完全に分離可能で、かつ再現性のある分析条件を確立した。 2.昨年度まで実験材料として使用していたダイコンにかえて、感度が高く、かつ長時間にわたって安定した結果を与えるカブに実験材料を変更した。 3.カブのスライスについて、レタス腐敗病菌および紫外線照射の2種のストレスを用いて、経時的にHPLCで追跡し、新たに産生される化合物の生成と消失を明らかとした。紫外線照射のほうが単純な生成物を与えるHPLCの結果はbrassinin-cyclobrassinin-spirobrassininの生合成経路を示唆する。 4.生合成実験には、二つの切断したカブの表面に容量約1m1の穴を数個あけ、エ-ジングした後、重水素で標識した予想前駆体をTween80水溶液、あるいは乳濁液の状態で投与し、適当な時間インキュベ-トしたのち水層部、および褐変した穴組織部をそれぞれ抽出、単離後、NMRで取り込みを測定した。重水素で標識したメチオニンは効率よく、brassininへ取り込まれた。4位を標識したトリプトファンを投与したところ、brassininへ取り込まれた。従って、brassininの母核はトリプトファンに由来し、-SMeはメチオニンに由来する。 5.重水素で標識したbrassininは効率よくcyclobrassininとspirobrassininに取り込まれた。 6.重水素で標識したcyclobrassininとNMRでの感度では、spirobrassininに取り込まれ無かった。cyclobrassininを投与後、回収するまでの時間が長すぎた可能性がある。さらに検討を要する。 5.キャベツからcyclobrassininとspirobrassininを結ぶ前駆体と期待されるdioxibrassininが得られた。この化合物はspirobrassininへ化学的に変換された。
|
-
[Publications] Kenji Monde: "Brassicanals A and B,Novel Sulfur-Containing Phytoalexin from the Chinese Cabbage" Chemistry Letters. 209-210 (1990)
-
[Publications] Kenji Monde: "4-Methoxybrassinin,a Sulphur-Containing Phytoalexin from Brassica oleracea" Phytochemistry. 28. (1990)