1988 Fiscal Year Annual Research Report
海洋生物由来の昆虫に対する生理活性物質の化学的研究
Project/Area Number |
63470022
|
Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
越智 雅光 高知大学, 理学部, 教授 (40036562)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 望 高知大学, 海洋生物教育研究センター, 助手 (20193724)
大野 正夫 高知大学, 海洋生物教育研究センター, 教授 (10036543)
小槻 日吉三 高知大学, 理学部, 助教授 (80093954)
|
Keywords | 海洋生物 / 蚕幼虫に対する成長阻害活性 / 天然有機化合物 |
Research Abstract |
1.試料採集および一次スクリーニング 宇和海および宿毛湾で海洋無脊椎動物29種を採集し、試料とした。これらの動物から得た粗抽出物について、蚕幼虫に対する生理活性を指標にスクリーニングを行った。その結果、4種の動物から得た抽出物に著しい活性を認めた。 2.生理活性物質の分離 上記のスクリーニングで顕著な活性の認められた試料の中、特に強い活性を示したヤギ目の1種(未同定)について成分検索を行った。粗抽出物をセファデックスLHー20を使ってゲルロ過した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーならびに液滴向流クロマトグラフィーで分離を行い、さらに高速液体クロマトグラフィーで精製して6種のジテルペノイドを活性成分として得た。また、先に同じく顕著な活性の認められていたLitophyton sp.(ウミトサカ目)についても同様の方法で成分検索を行い、新たに4種のジテルペノイドを得ることができた。また、これらのジテルペノイドの単離の過程で5、8、14、17ーicosapentanoic acidに由来すると思われる2種の分枝脂肪酸誘導体を得た。 3.構造の解明 上記のようにして得た12種の化合物について、各種スペクトルデータならびに種々の化学反応により構造の解明を行い、それぞれ決定もしくは推定することができた。 4.単離した成分の蚕幼虫に鉄する成長阻害活性 上記の12種の化合物について、蚕幼虫に対する成長阻害活性(ED_<50>)を調べたところ、大部分のジテルペノイドはED_<50>値が100ppm以下であり、最も強いもので3ppmであった。一方、分枝脂肪酸誘導体は300ppm以下の濃度では全く活性を示さなかった。
|