1988 Fiscal Year Annual Research Report
選択的分離試薬の開発と分析化学への適用に関する研究
Project/Area Number |
63470030
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松井 正和 京都大学, 化学研究所, 教授 (90027037)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅谷 重夫 京都大学, 化学研究所, 助手 (80160315)
木原 壮林 京都大学, 化学研究所, 助教授 (60161543)
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Keywords | 溶媒抽出 / 配位試薬 / ポリピラゾリルボレート塩 / アシルピラゾロン類 / 金属キレート / 光学異性体 / キナアルカロイド / アルカリ金属 |
Research Abstract |
選択的機能を持つリガンドとして、ポリピラゾリルボレート塩誘導体、アシルピラゾロン類を合成してその分析化学的機能を研究するとともに、光学活性体に対して識別機能を持つキレートについても研究を進めた。1.ポリピラゾリルボレート塩誘導体の合成とその金属キレートの分伏化学的研究。本リガンドと金属とのキレート環がボート型をとることがこのリガンドの特異的機能をもつ1つの要因と考えられたが、予測通り、例えばヒドロトリスピラゾリルボレートは遷移金属と昇華性の安定なキレートを生成し、また極めて低いpHで溶媒抽出されるばかりでなく、N,Nー配位リガンドでは珍らしくアルカリ土類元素とも抽出可能なキレートを生成することが判明した。このリガンドは水溶性で有機相への分配が低い。そのため、抽出平衡は主として水溶液中の反応が支配し、また酸性側でのリガンドのプロトン化のためpHーlogD曲線の匂配が著しく高くなることが判明した。2.アシルピラゾロン系リガンドの合成と金属の溶媒抽出の研究。アシルピラゾロン系リガンドは他の抽出試薬では困難なバリウムなどアルカリ土類を酸性側で容易に抽出分離できるのみならず、Li^+、Na^+といった従来不可能であったアルカリ金属をも抽出の可能性を抱かせるリガンドである。そこで本リガンドに立体規制を与える置換基をもつ誘導体、或いは2ケのキレート環をもつビスピラゾロン誘導体を合成し、これらの構造が金属の溶媒抽出に与える影響をキレートの構造と関連づけて研究を行った。3.光学異性体と選択的に反応する光学活性リガンド金属キレートの合成と溶媒抽出の研究。dーおよびlーカンファーを含むリガンドなど光学異性体を含む金属キレートと、これらと付加反応するキナアルカロイドとの反応の立体選択性を溶媒抽出挙動を通して研究した。その結果Co^<2+>>Eu^<2+>>Zn^<2+>の順で光学異性体に対する選択性が大となるなど興味ある結果を得た。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Sorin,Kihara: J.Electroanal.Chem.249. 109-122 (1988)
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[Publications] Sorin,Kihara: Bull.Inst.Chem.Res.,Kyoto University. 66. 49-55 (1988)
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[Publications] Hiroshi,Mukai: Anal.Chim.Acta. (1989)
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[Publications] Hiroshi,Mukai: Anal.Chim.Acta. (1989)