1988 Fiscal Year Annual Research Report
火山岩斑晶中の微小ガラス包有物の分析によるマグマ中の揮発性物質濃度の直接測定
Project/Area Number |
63470031
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
日下部 実 岡山大学, 地球内部研究センター, 教授 (20015770)
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Keywords | 斑晶中のガラス包有物 / マグマ中の揮発性物質 / レーザー溶融法 |
Research Abstract |
1.噴火に関与したマグマ中揮発性成分の組成と濃度を推定することを目的として、火山岩斑晶中微小ガラス包有物に含まれる水、二酸化炭素、二酸化硫黄などを抽出するための真空装置を作製した。ガラス包有物は大きくても直径100μm程度であり、またその中に含まれる揮発性物質の総量は極微量(10^<-9>〜10┣D1-8g)と予想されたので、吸着およびバックグラウンドを極小化した焼出し可能の高真空装置レーザービームを導入し、ガラス包有物のみを選択的に溶融させてガラスに溶解している揮発性物質の抽出を試みた。 2.レーザー発生装置としてNd:YAGレーザを購入した。市販の加工光学系ユニットを借用して天然の火山岩ガラスの溶融実験を行なったところ、レーザービームのエネルギーは十分であるが、微小なガラス包有物を観察するには、市販の加工光系ユニットでは倍率が低すぎて困難であることが判明した。したがって揮発性成分抽出用の高真空装置へのレーザービームの導入には、反射顕微鏡の原理を応用したレーザービーム光学系を試作し、ビーム径を絞り試料ガラス包有物へのビーム集中の精度を向上させる必要がある。 3.揮発性物質の主体は水であり、真空装置内部への吸着および装置と班晶鉱物からのバックグラウンドの見積りを正確に行なう必要があることが分った。揮発性物質を抽出した後に、水を金属ウランとの反応で定量的に水素に変換し、水素として定量する方法を検討中である。 4.揮発性物質の組成分析には、真空装置に直結した四重極型質分析計を用いたいる。超微量ガスの定量のための検量線作成法を検討中である。 5.分析法の確立後は同一マグマ溜りから異なった時期に噴出した放出物を分析し、マグマ溜り中の揮発成分濃度の時間変化の有無を解明する。
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Research Products
(2 results)