1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63470048
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
白石 祐 東北大学, 選鉱製錬研究所, 教授 (00006024)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 浩 東北大学, 選鉱製錬研究所, 助手 (40194443)
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Keywords | ガラス転移 / 粘度 / ボロシリケート / ガラス / メルト / 計算機シミュレーション |
Research Abstract |
融体を冷却してゆくと、粘度の高い物質では、結晶化することなく液体状態のまま凍結した、いわゆる、ガラスを形成する。この過程を適当な物性、例えばモル体積に注目して追跡すると、過冷液体からガラス状態に変化するとき、モル体積の温度依存性に折点を生じる。この温度をガラス転移点Tgと呼ぶ。この転移は構造的に連続であって、構造の緩和時間が結晶のそれと等しくなるという動力学的な転移として理解されている。このガラス転移について、粘度、膨張率、比熱等を測定してその本性を明らかとし、じきん冶金フラックスへ適用しようとするのが本研究の目的である。 本年度は比熱、膨張率測定のための装置を作り、予備テストを行い、また、ガラス状態からメルト状態に至る広い粘度範囲(10^<10>〜10^1Pas)での測定をNa_2-B_2O_3-SiO_2系について、2種類の粘度系により実施した。さらに同じ系について、分子動力学的シミュレーションを行った。 ボロシリケートの粘度測定結果は、B_2O_3の粘度に及ぼす両性的挙動を与え、さらにSiO_2の富側組成において、メルトとガラスにおけるB_2O_3の挙動が逆転するという奇妙な振る舞が観察された。この現象はガラス転移と関連するように思われるが、走査熱量計DSCによるTgの測定からは直接的な相関は得られず、さらに比熱の精細な測定を必要とする。なお、比熱のDSCによる測定には、空試料、標準試料、被験試料の3回を独立な測定を組合せるため、揃った測定値を得るためには熟練が必要で、現在まだ充分なデータを得るに至っていない。 計算機シミュレーションによる粘度の測定は、境界条件を連続化するためのレプリカセルの影響が大きく、高温における低粘度域にシミュレーションは可能であるが、粘度の高いガラス化温度での計算は通常の方法では不可能に近く、特別な工夫を要する。
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[Publications] Y.Siraishi;H.Ogawa: "Proc.3rd Intern.Conf.on Molten Slags and Fluxes.(1988),Glasgow.(Viscosity of Na_2O-B_2O_3-SiO_2 System in Glassy and Molten States.)" The Institute of Matals(London), (1989)