1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63470072
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
沢木 泰彦 名古屋大学, 工学部, 教授 (30023120)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 克彦 名古屋大学, 工学部, 助教授 (60023264)
|
Keywords | 高分子電解質 / 電子リレ-異性化 / 光化学電子移動 / シス-トランス異性化 / スチルバゾ-ルラジカル |
Research Abstract |
ポリスチレンスルホン酸アニオンは、カチオン種を吸着・凝集し、分子集合体を形成する。たとえば、スチルバゾ-ルイオンはルテニウムトリスビリジル錯体と、ボリアニオン場に有効に吸着される。光照射により、両者間で電子移動が起き、吸着されたスチルバゾ-ル分子間で次々と電子リレ-が起き、それに伴って連鎖的シス-トランス異性化が達成される。 異性化の中間体と推定されるスチルバゾ-ルラジカルの検出を、レ-ザフラッシュ法により検討した。上記ルテニウム錯対を増感剤としたときには、ルテニウム発光が強く、スチルバゾ-ルラジカルの吸収と重なるため、,他の増感財について検討した。ナフタリンとジシアノベンゼンの複合増感系の光照射により、ジシアノベンゼンアニオンラジカルを生成させ、スチルバゾ-ルの一電子還元を行なった。レ-ザ-フラッシュ直後に生ずるジシアノベンゼンアニオンラジカル(λma×340nm)が観察された。時間の経過に伴なって340nmの吸収が消失し、代わりに〜420nmの中間体の生成が観察された。他の類似する報告例からみて、この中間体は、スチルバゾ-ルラジカルと結論した。 この中間体はラジカルの消失速度に対するポリスチレンスルホン酸アニオン添加効果を検討した。等モル量の添加まで添加量に比例して2次速度定数は増加し、ほぼ10倍の大きさとなった。高分子電解質ポリアニオン場に基質のオレフィン分子が凝集濃縮されることにより、電子リレ-速度が著しく向上したものと解釈される。 この場合、増感剤は高分子静電場に吸着れれていないが、均一系反応系に比べて最大10倍もの異性化促進効果が見られた。今後、増感剤系をさらに改良し、静電場に吸着溶存する系で電子リレ-効率化をはかる計画である。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] K.Takagi,N.Maiyake,E.Nakamura,Y.Sawaki,N.Koga,H.Iwamura: "ZnTPPS-Sensitized Photodibrodimination of 2,3-Dibromo-3-phenyl-propionic Acids.Electron Transfer Initiated Chain Debromination." Journal of Organic Chemistry. 53. 1703-1708 (1988)
-
[Publications] K.Takagi,N.Maiyake,E.Nakamura,H.Usami,Y.Sawaki: "Micellar Effect on the Photosensitized Debromination of 2,3-Dibromo-3-pheylpropionic Acid" J.Chem.Soc.,Faraday Transaction 1. 84. 3475-3486 (1988)