1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63470077
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
小倉 克之 千葉大学, 工学部, 教授 (60114253)
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Keywords | ラジカル受容体 / ケテンジチオアセタールS-酸化体 / メチルチオメチルトリスp-スルホン / 分子間ラジカル付加 / 分子内ラジカル付加 |
Research Abstract |
本研究では、ラジカル受容体としてのケテンジチオアセタールS-酸化体(1)の機能に着目し、このものへの炭素ラジカル付加による炭素-炭素結合形成反応を研究し、硫黄部分の官能基変換反応と併せて、高効率な精密合成反応を開発しようとするものである。 本年度は、ケテンジチオアセタールの硫黄部位酸化体(1)ガラジカルの受容体として機能する基礎知見を得ることを目的として、1の合成法とその分子間及び分子内におけるラジカル受容能について研究を行い、以下の成果を挙げることができた。 1.ケテンジチオアセターS-酸化体(1)の合成 ラジカル受容体として検討する1の簡便な合成法として、これまで確立した製造法に加えて、メチルチオメチルトリルP-スルホン(2)のトリメチルシリル化を経由するアルデヒドとの反応による方法、および2のアヒル化、還元、ついで脱水による方法を開発した。さらに1の各種誘導体に導く反応として、NBSによる臭素化とそのアルコキシド置換による手法も開発した。 2.1のラジカル受容能に対する基礎研究 励起ベンゾフェノンのアルコールおよびエーテルのα-Hの引き抜きで発生できるラジカルを対象として、1への分子間付加反応を研究した。その結果、1のアルコールあるいはエーテル溶液にベンゾフェノンを共存させ、高圧水銀灯で光照射すると、収率よく付加体が生成し、ヒドロキシルおよびアルコキシル基置換ラジカルに対して、1が良好なラジカル受容能を示すことが分かった。 さらに、分子内にハロゲンを有する1の誘導体に、n-Bu_3SnHを作用させ、分子内ラジカル付加による環式化合物の合成法についても検討したが、四員環、五員環、および六員環が形成できることを明らかにした。
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