1989 Fiscal Year Annual Research Report
光散乱による単分散性グラフト共重合体の一次構造と溶液物性
Project/Area Number |
63470086
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
野瀬 卓平 東京工業大学, 工学部, 教授 (20016405)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 守 東京工業大学, 工学部, 講師 (50185451)
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Keywords | 星型高分子 / グラフト共重合体 / 慣性半径 / 流体力学的半径 / 光散乱 / ミセル |
Research Abstract |
房型グラフト共重合体の極限としての星型高分子とB部分にグラフト鎖をもつA-B-A型グラフト共重合体について研究し以下のような成果が得られた。 1.星型グラフト高分子:幹と枝が化学的に同一分子種から成るグラフト共重合体のモデルとして腕鎖の1本を部分的に重水素化で標識した星型ポリスチレンについてCS_2溶液の小角中性子散乱を測定した。その結果、腕鎖は中心に近いところで末端部分に比べ2倍程度に膨張していること、またセグメント対相関はガウス鎖近似では表わせないことが示唆された。これと対応し、光散乱測定が可能となる幹と枝の分子種が異なるグラフト共重合体としての星型高分子の合成を試みた。すなわち星型ポリスチレンの腕1本をポリビニルナフタレンとしたグラフト共重合体を合成した。この時、前年度と同様の合成手法を用いたが、ポリビニルナフタレンのリビングアニオンは中心部のビニルシランの重合を開始することができず、逆にポリビニルシランアニオンによってビニルナフタレンの重合を開始する必要があることがわかった。 2.A-B-A型グラフト共重合体:A-B-A型ブロック共重合体(A:ポリスチレンMw=4.0×10^4;B:ポリヒドロキシスチレンMw=3.0×10^4)のB部分にポリエチレンオキシド(PEO)鎖(Mw=3.6×10^2)を125本グラフトした共重合体がPEOと等屈折率である1-メチル4-シクロヘキサノ-ル中でミセルを形成することを見出した。臨界ミセル濃度は、35℃で約3×10^<-4>g/g-solution、45℃で9×10^<-4>g/g-solutionでありそのミセルの大きさは温度・濃度に強く依存する。見かけの分子量、慣性半径、流体力学的半径より、棒または紐状ミセルであることが示唆された。
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