1988 Fiscal Year Annual Research Report
ケイ光プローブ法による高分子の側鎖及び末端セグメント運動性の研究
Project/Area Number |
63470087
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
田附 重夫 東京工業大学, 資源化学研究所, 教授 (20025993)
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Keywords | 高分子側鎖の運動性 / 高分子末端の運動性 / 分子内電荷移動 / TICT / ケイ光プローブ / 自由体積 / 時間分解発光スペクトル |
Research Abstract |
励起状態で平面型(b^*状態)から捩れ型(a^*状態)に移行し電荷移動状態を生成するTICT化合物は、b^*状態からの発光に加えa^*状態からの長波長CT発光が認められる。分子運動が一義的に決まること、及びa^*状態とb^*状態からの発光強度の比(R値)がミクロな粘性、極性の指標となることから、TICT化合物は高分子の局所的な運動を調べる格好のケイ光プローブとなることから期待される。本研究では計画に従がって、ジメチルアミノベンゾエート(DMAB)を側鎖、又は末端に有するポリメタクリレートを、主鎖とDMABの距離、及び隣接側鎖の大きさを変えて種々合成し、GPC(申請設備備品)により分取後、分子量単分散試料を得た。稀薄溶液系の定常光ケイ光測定ではR値が、1)主鎖とDMABの距離が長い、2)隣接側鎖が小さい、3)良溶媒中、4)長波長光で励起する程大きくなり、a^*状態の生成効率が高くなった。これらの結果は、ポリマーの化学構造、あるいは溶媒によるコンフォメーションの違いがDMABのミクロ環境に影響し、捩れ運動の容易さが変化したことによる。吸収、及び時間分解発光スペクトル測定の結果を合わせ、高分子主鎖の広がりが側鎖の運動性とそのコンフォメーションに影響すること、隣接側鎖が大きくなると側鎖の運動性は主鎖より隣接側鎖の影響を強く受けること、等、側鎖運動性が高分子構造の影響を強くうけることがTICT化合物の捩れ運動を基に初めて明らかになった。 ひき続き、昭和64年度は、ピコ秒(10^<-12>)時間領域でのa^*状態の生成過程とダイナミックな観点から論ずると共に、高分子フィルム系、他のポリマー系へと研究を展開する。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] S.Tazuke: Macromolecules. 21. 1046-1051 (1988)
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[Publications] S.Tazuke: Macromolecules. (1989)
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[Publications] S.Imabayashi: Chemical Physics Letter. 153. 23-26 (1988)
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[Publications] R.K.Guo: Macromolecules.
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[Publications] S.Imabayashi: Macromolecules.