1988 Fiscal Year Annual Research Report
ゾーン延伸・熱処理法により作製した高強度・高弾性率高分子材料の動的粘弾性
Project/Area Number |
63470088
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
功刀 利夫 山梨大学, 工学部応用化学科, 教授 (50020384)
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Keywords | ゾーン延伸・熱処理法 / 高弾性率 / 高強度 / 高次構造 / 引っ張り特性 / 結晶配向 / 非晶鎖配向 / 力学分散 |
Research Abstract |
昭和63年度の研究実績は下記のとおりである。 1)実験用試料として東レ製のナイロン6繊維とポリエチレンテレフタレート繊維の溶融紡糸後の末延伸、未処理物を選定した。 2)ゾーン延伸・熱処理には、最近開発した高温ゾーン延伸法と比較のための従来法によった。前者は第1段ゾーン延伸を融点に近い高温で行い原繊維中の結晶粒子を十分軟化し、適度な張力下で分子鎖を引き出し分子鎖集合体を得、さらに第2段ゾーン延伸以降では分子鎖を伸長し加熱と張力により完全配向結晶化を目的としている。後者はゾーン延伸を試料のガラス転移温度付近で行い、次いで結晶化最適温度でゾーン熱処理を行うことによって高配向・高結晶化試料の作製を目的としている。本年度はそれぞれの方法での延伸温度、張力、加熱炉速度などの条件を検討しほぼ最適と思われる条件を決定した。 3)得られた試料についてまず延伸倍率、複屈折、密度などを測定した。 4)動的粘弾性の測定は本申請により購入した装置と既設装置との連結により進めゾーン延伸・熱処理試料の粘弾性的特徴がかなり解明できた。特に、高温ゾーン延伸法で得た試料は室温で高弾性率を示すばかりでなく、高温でも高い弾性率を維持する特質をもつ。動的損失ー温度曲線に現われる力学分散は通常延伸法で得た繊維の場合より15〜25℃も高温に生じその強靱な高次構造が示唆された。 5)引っ張り特性すなわちヤング率、強度、伸度の測定も併行的に進め動的粘弾性の測定結果と対比した。同じ力学的性質ではあるがそれぞれ対応する高次構造と力学応答は異なり構造と力学特性との関連についての有力な知見が得られることが分った。 本年度の研究実績の大要は以上であるが、引き続き分子配向の定量的評価、結晶サイズ、完全性の測定なども進め早期に総合判定をしたい。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] T.Kunugi;et al.: POLYMER. 29. 814-820 (1988)
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[Publications] T.Kunugi;et al.: Journal of Applied Polymer Science. in press.
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[Publications] T.Kunugi;et al.: Journal of Applied Polymer Science. be submitted.
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[Publications] 功刀利夫: 繊維学会誌. 44. p326-p327 (1988)
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[Publications] T.Kunugi: Proceeding of MRS Advanced Materials Society.
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[Publications] 功刀利夫,太田利彦,矢吹和之: "高強度・高弾性率繊維" 高分子学会編共立出版株式会社, 1-125 (1988)
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[Publications] 功刀利夫 他: "最新高分子材料技術総覧" 高分子材料・技術総覧編集委員会編 産業技術サービスセンター, 1-608 (1988)