1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63470089
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
高橋 彰 三重大学, 工学部, 教授 (70023009)
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Keywords | 走査トンネル顕微鏡 / 高分子の形態 / 吸着 / 電荷移動錯体 |
Research Abstract |
走査トンネル顕微鏡(STM)による有機分子の直接観察は、(1)有機分子が一般には導電性をもたないこと、(2)観察に用いられる高配向グラフファイト基盤と有機分子の分子間力、すなわち吸着力が弱いため分子が基盤上を動き易い(すべり易い)という2点のために観測が極めて困難であることが分かった。 そこで本年度はまず高分子にトンネル電流に対する導電性を附与することを思いつき、ポリビニルカルバゾ-ルおよびポリビニルピリジンを選び、これらのモノマ-単位当りヨ-ド分子が1個あるいは2個となるような組成で溶媒中で電荷移動錯体を形成させ、へき開したHOPG上に滴下しSTM観察を行った。 ごく低濃度溶液から析出させたとき高分子像をとらえることはできたが孤立した高分子像はとらえられなかった。むしろ高濃度溶液から析出させた時のSTM像が吸着高分子に予想されるル-プ・トレイン・テイル形態を保ちつつ固体表面上に析出した高分子の大局的な像に合うことが分かった。またこの吸着STM像の直径がほぼ溶液中のランダムコイルの直径に近く、したがってド-ピング法によって吸着鎖の大局的形態が観測できることが分かった。しかしこのヨ-ドによるド-ピング法では分子構造の詳細がえられる程の解像度がえられないことも分かった。 もう一つの重要な知見として、グラファイト基盤上の分子運動を減らす全く一般的な方法は基盤と相互作用する分子当りのセグメント数を増加させることにあるということが分かったことである。これは全く高分子吸着に特長的なこととして、従来われわれが主張してきたことと合致している。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 高橋彰: "固体表面への高分子の吸着" 表面科学. 10. 142-148 (1989)
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[Publications] 高橋彰: "高分子の吸着の分子論" 海外高分子研究. 36. 37-41 (1990)
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[Publications] Akira Takahashi: "Adsorption and desorption behavior of polymers at an interface" Proc.IUPAC 32nd International Symposium on Macromolecules“Frontiers of Macromolecular Science". 331-336 (1989)
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[Publications] Yukihiro OKA Akira Takahashi: "Observation of Polymer with the Scanning Tunneling Microscopy" Polymer Preprint,Japan. (1990)