1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63470091
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
尾崎 邦宏 京都大学, 化学研究所, 教授 (00027046)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根本 紀夫 京都大学, 化学研究所, 助教授 (90027053)
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Keywords | 相溶性高分子 / 高分子混合物 / 粘弾性 / 複屈折 / 高分子運動 |
Research Abstract |
1.相溶性高分子であるポリスチレンとポリビニルメチルエーテルの混合物について、応力緩和と動的粘弾性測定を行い、以下の結果を得た。 (1)比較的短時間(高周波数)の領域に、すべての高分子鎖のからみ合いに由来すると思われるゴム状平坦領域が存在する。 (2)その平坦領域の緩和は、ポリスチレンの分子量に依存せず、ポリビニルメチルエーテル鎖の拡散によって生じると考えられる。 (3)長時間領域に、ポリスチレン鎖のみのからみ合い網目に由来すると思われるゴム状平坦領域が存在し、その領域の弾性率の値や緩和時間はポリスチレンの濃度と分子量だけで決定される。この領域では、ポリビニルメチルエーテルは低分子量の溶媒と同じ挙動を示している。 (4)これらの粘弾性に対応する誘電緩和の測定が、現在進行中である。 2.上述の混合系について応力緩和過程における複屈折の測定を行い、以下のような知見を得た。 (1)短時間領域では、2種の高分子鎖はいずれも配向して、応力に寄与しているという、予想どおりの挙動をする。 (2)長時間領域では、応力はポリスチレン鎖のみに由来するにかかわらず、ポリビニルメチルエーテル鎖も配向を保持している。後者は、配向したポリスチレン鎖に吸着する傾向があると考えられる。 3.上述の混合系中におけるポリスチレン鎖の拡散係数を、強制レーリー散乱法によって測定した。ポリスチレンの分子量が低い場合には、2種類の拡散モードが共存するという異常挙動が得られたので、これを詳細に解明するために、濃度、分子量等の条件を細かく変化させた実験を行っている。
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