1989 Fiscal Year Annual Research Report
リビングカチオン重合系の開発-規制された高分子の新しい合成法
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63470099
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
東村 敏延 京都大学, 工学部, 教授 (20025860)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沢本 光男 京都大学, 工学部, 助手 (90150325)
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Keywords | カチオン重合 / リビング重合 / 開始剤 / 炭素カチオン / リビングポリマ- / ブロック共重合体 / ビニルエ-テル / スチレン誘導体 |
Research Abstract |
昭和63年度には、「生長炭素カチオンの求核的安定化」というビニル化合物のリビング重合の一般的な原理を提唱し、これをビニルエ-テルの重合において確立した。平成元年度では、従来困難であった高温におけるリビングカチオン重合、およびビニルエ-テル以外のビニルモノマ-のリビングカチオン重合に成功した。 1.添加塩基の存在下での高温におけるリビングカチオン重合 前年度には、ルイス酸性の強いハロゲン化金属(例 EtAlCl_2)によるリビングでない重合系へ、弱いルイス塩基(求核試薬)であるエステルまたはエ-テルを添加すると、これらが炭素カチオンを安定化し、リビング重合を起こさせることを明らかにした。今年度は、さらに添加塩基としてかさ高い置換基をもつ2.6-ジメチルピリジン等が有効であることを見出した。さらに、エステルおよびエ-テルではその塩基性が、またピリジン誘導体では窒素原子の周辺の立体障害の程度が、それぞれ炭素カチオンの安定化力に大きく影響することもわかった。これらの塩基の存在下において、高温での重合を検討した結果、酢酸エチルおよびジオキサンを用いると、+70℃と言うこれまでで最も高い温度でリビングカチオン重合が可能になることが明らかとなった。 2.スチレン誘導体のリビングカチオン重合 スチレン誘導体はビニルエ-テルより不安定な生長炭素カチオンを生成するため、一般にそのリビングカチオン重合は困難であった。しかし、我々のHI/ZnI_2を用いると、例えば酸性条件下で分解しやすい置換基を持つp-tブトキシスチレンさえもリビング重合することを見出した。得られたポリマ-の側鎖を酸分解し、分子量分布の狭いポリ(p-ビニルフェノ-ル)を合成できた。また、このモノマ-と種々のビニル化合物とのブロックポリマ-も同様に合成し、側鎖の酸分解により両親媒性高分子を得た。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 東村敏延: "Living Cationic Polymerization of Vinyl Monomers:Control of Propagating Species with Added Bases" Frontiers of Macromolecular Science(T.Saegusa,T.Higashimura,A.Abe,eds.,Blackwell,Oxford). 67-72 (1989)
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[Publications] 青島貞人: "Living Cationic Polymerization of Vinyl Monomers by Organoaluminum Halides.3.Living Polymerization of Isobutyl Vinyl Ether by EtAlCl_2 in the Presence of Ester Additives" Macromolecules. 22. 1009-1013 (1989)
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[Publications] 岸本恭尚: "Living Cationic Polymerization of Vinyl Monomers by Organoaluminum Halides.4.Living Polymerization of Insobutyl Vinyl Ether by EtAlCl_2 in the presence of Ether Addittves" Macromolecules. 22. 3877-3882 (1989)
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[Publications] 東村敏延: "Living Cationrc Polymerization of Vinyl Monomers by Organoaluminum Halides.5.Living Polymerization of Isobutyl Vinyl Ether by EtAlCl_2 in the Presence of 2,6-Dimethylpyridine and Related Amines" Polymer Journal. 21. 725-732 (1989)
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[Publications] 東村敏延: "Living Cationic Polymerization of4-vinylphenol)with Narrow Molecular Weight Distribution" Makromol.Chem.Suppl. 15. 127-136 (1989)
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[Publications] 小島和重: "Block Copolymers of p-t-Butoxystyrene with Isobutyl Vinyl Ether or Styrene Dervatives:of Amphiphilic Macromolecules" Macromolecules.