1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63470102
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
古崎 新太郎 東京大学, 工学部, 教授 (40011209)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関 実 東京大学, 工学部, 助手 (80206622)
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Keywords | 植物細胞 / 固定化 / コーヒー / カフェイン / ベニバナ / トコフェロールビタミンE / アルギン酸 |
Research Abstract |
本研究は、植物細胞を用いて、微生物の生産出来ない物質あるいは構造が複雑で化学合成による大規模生産が困難な有用物質(アルカロイド、テルペノイド等)を生産する際に、固定化技術の利用がどのような効果を及ぼすのかを、生物学的因子と工学的因子の両面から定量的に評価し総合的な解折を行おうとするものである。反応生成物(二次代謝産物)を細胞外へ排出するモデル系として、コーヒー細胞によるカフェインの生産、細胞内に蓄積するものとして、ベニバナ細胞によるトコフェロール類(ビタミンE)の生産について検討した。 1.コーヒー細胞によるカフェイン生産 (1)遊離細胞による増殖・生産:液体培地での回分の回転振盪培養により増殖・生産条件の検討を行い、以下の知見を得た。1)増殖と生産は明かに非連動であり、増殖が完全に停止した後に生産量が急増し、ピークをむかえる。その後分解が始まる。2)細胞による酸素消費速度を測定し定式化した。3)光照射による生産性の向上は認められなかった。 (2)固定化細胞による生産:回分の固定化振盪培養と気泡塔型リアクターによる固定化反応を行った。1)アルギン酸カルシウムゲルによる固定化では比生産速度が向上した。2)ポリウレタンフォームに比べ、アルギン酸ゲルは強度的な問題があった。3)ウレタンフォームの細孔径が固定化細胞の増殖と漏出に大きな影響を与えた。 2.ベニバナ細胞によるトコフェロールの生産 (1)遊離細胞:1)生産量は増殖停止後約3日で最大となった。2)前駆体(phytol)の添加により生産性は約20倍となったが、過剰の添加は阻害的に働いた。 (2)固定化細胞:アルギン酸ゲルによる固定化により、細胞の比生産速度の向上が認められた。
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