1988 Fiscal Year Annual Research Report
ゼノバイオティクスに対する代謝応答機構の解析と栄養制御
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63470108
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉田 昭 名古屋大学, 農学部, 教授 (70035377)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小田 裕昭 名古屋大学, 農学部, 助手 (20204208)
堀尾 文彦 名古屋大学, 農学部, 助手 (20165591)
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Keywords | ゼノバイオティクス(生体異物) / ビタミンC / 血小板凝集 / フラビン含有モノオキシゲナーゼ / チトクロムP450 / コレステロール |
Research Abstract |
工業化社会の食生活では種々の人工有機化合物(ゼノバイオティクス)を摂取する機会が多く、それによる代謝変動と栄養制御に関する知見が重要である。本研究では特に成人病と関連の深いコレステロール代謝、血小板凝集に及ぼすゼノバイオティクスの影響、ビタミンC欠乏における薬物代謝酵素低下機構を中心に研究した。 (1)ビタミンC欠乏による薬物代謝酵素活性の低下機構:ビタミンC欠乏により薬物代謝に関与するP450ならびにP450関連酵素の活性は低下するが、その機構は明らかでない。モルモットに較べ多くの利点を有する遺伝的アスコルビン酸合成不能ラットが近年日本で開発されたので、これを用いて実験した。P450c、P450dについてノザンブロッティングによりそれぞれのmRNAの量を定量したところ、いずれのmRNA量もビタミンC欠乏で減少しており、P450の低下は転写レベルで影響されていることが明らかとなった。ヘム合成の律速酵素であるδーアミノレブリン酸(ALA)合成酵素活性はビタミンC欠乏で低下したが、ALAの投与によってもP450の低下は回復せず、ヘム合成系の変化がP450低下の主なる要因ではないものと推定された。P450系以外の薬物代謝系であるフラビン含有モノオキシゲナーゼ系はビタミンC欠乏で低下するが、PCB投与で十分な活性を示し、ビタミンCの影響は特にP450系において重要であることが示された。(2)ゼノバイオティクスによる血小板凝集の促進:アラキドン酸カスケードにはP450の関与が知られるようになったが、PCB、DDTなどの投与でラット血小板凝集が促進され、シクロオキシゲナーゼの阻害剤であるアスピリンの投与で凝集促進が阻止されることを明らかにした。(3)ゼノバイオティクスによる肝コレステロール合成促進機構についても現在初代培養肝細胞を用いて実験を進めている。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] S.Nagaoka;H.Miyazaki;Y.Aoyama;A.Yoshida: Nutrition Reports International. 37. 19-31 (1988)
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[Publications] K.K.Kobayashi;A.Yoshida: J.Nutritional Science & Vitaminology. 34. 281-291 (1988)
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[Publications] 堀尾文彦,吉田昭: ビタミン. 62. 317-333 (1988)
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[Publications] 吉田昭: 日本小児栄養消化器病学雑誌. 2. 20-26 (1988)
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[Publications] K.Hayase;G.Yonekawa;A.Yoshida: Nutrition Reports International. 39. (1989)
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[Publications] F.Horio;K.Ozaki;H.Oda;S.Makino;Y.Hayashi;A.Yoshida: J.Nutrition. 119. (1989)