1988 Fiscal Year Annual Research Report
植物ホスホリラーゼアイソザイムの器官特異的発現の調節
Project/Area Number |
63470109
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
福井 俊郎 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (90029843)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 憲一 農林水産省, 食品総合研究所, 主任研究官 (70142320)
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Keywords | ホスホリラーゼ / 器官特異的発現 / 発現の調節 / ジャガイモ |
Research Abstract |
植物組織中には細胞内分布と構造を異にする、2種ホスホリラーゼが存在するが、器官によってそれらの存在比が大きく異なると共に、基質グルカンに対する親和性に大きな差異が存在する。本研究では、デンプン代謝におけるこれらアイソザイムの役割を分子生物学的アプローチにより解明することを目的とする。 1.全アミノ酸配列のうちでカルボキシ末端領域から隣接した2か所の構造を選び出し、相当するオリゴヌクレオチドを合成した。 2.ジャガイモ塊茎より全RNAを抽出し、オリゴdTセルロースでポリA・RNAを単離し、オリゴdTをプライマーとしてcDNAを合成し、両端にEcoRエリンカーを付け、λgt10のベクターに導入することによりcDNAライブラリーを作成した。 3.作製したcDNAライブラリーをプレート上に幡き、合成した2種のオリゴヌクレオチドをATPーγー32Pでラベルして、プローブとして用いた。両方のプローブとハイブリダイズするクローンを選別して、その塩基配列をホスホリラーゼの一次構造と比較することにより、最終的にホスホリラーゼCDNAを同定した。 4.得られた全コーディング領域を含むcDNAの塩基配列を決定したところ、先に化学的に決定したアミノ酸配列に完全に一致した。 5.このcDNAのコーディング領域の上流には、50アミノ酸機基から成る"Transit sequence"に相当する構造が存在することが認められた。従って、低親和性ホスホリラーゼは細胞質で生合成させてから、プラスチドへ移行するものと考えられる。
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[Publications] Nakano,Kenichi: Journal of Biological Chemistry.
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[Publications] Yu,Fujio: Journal of Biological Chemistry. 263. 13706-13711 (1988)
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[Publications] 福井,俊郎: "タンパク質II.構造と機能ホスホリラーゼおよび解糖系酵素" 東京化学同人, 277-295 (1988)