1988 Fiscal Year Annual Research Report
絶対共生細菌の生産する耐熱性β-チロキナーゼ遺伝子のクローン化と共生機構の解明
Project/Area Number |
63470113
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
別府 輝彦 東京大学, 農学部, 教授 (80011873)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 稔 東京大学, 農学部, 助手 (80191617)
堀之内 末治 東京大学, 農学部, 助教授 (80143410)
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Keywords | 絶対共生細菌 / β-チロシナーゼ / クローニング |
Research Abstract |
耐熱性トリプトファナーゼ及び耐熱性β-チロシナーゼの生産菌として、堆肥中より検索を行ない、我々が単離命名した絶対共生菌Symbiobacterinm thermophilumの菌体内より精製取得したβ-チロシナーゼを、BrCNによる化学的断片法により分解し、得られたペプチドのいくつかについて、そのアミノ酸配列の決定を行なった。決定されたアミノ酸配列は、本菌より取得されたトリプトファナーゼ遺伝子の塩基配列より決定されたアミノ酸配列と極めて高い類似性を示した。これらトリプトファナーゼ及びβ-チロシナーゼは、co-factorとしてビタミンB_6を要求するなど、同じ反応機構でアミノ酸の分解などを行なう酵素である事から、アミノ酸配列中に高い相同性を持つ領域があると予想されていたが、実際にそうであった。そこで取得されている本菌のトリプトファナーゼ遺伝子全体をプローブとして、緩やかな条件下で本菌染色体DNAのBarmHI断片とサザンハイブリダイゼーションを行ない、β-チロシナーゼ遺伝子のクローン化を試みた。しかし、条件を改変しても良好な結果は得られなかった。そこで、別のペプチドについて、そのアミノ酸配列を決定し、トリプトファナーゼ遺伝子には存在しない塩基配列を持つ合成DNAプローブを作製し、β-チロシナーゼ遺伝子のクローン化を行なっているが、まだ成功するのは至っていない。クローン化でき次第、本菌のトリプトファナーゼ遺伝子の大腸菌内での大量発現における成功の時と同様の操作を行ない、β-チロシナーゼ遺伝子の全塩基配列の決定及び大腸菌内における大量発現を行なう予定である。一方、本菌はBacillus属との混合培養においてのみ、その生育を支持されるが、その生育因子はおそらく拡散性物質であると考えられるが透折膜を隔てた培養においては生育を支持されておらず、まだ生育因子の同定には成功していない。
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