1988 Fiscal Year Annual Research Report
ファイトアレキシン・エリシターを用いる薬用植物成分の生産研究
Project/Area Number |
63470125
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
海老塚 豊 東京大学, 薬学 部, 助教授 (90107384)
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Keywords | 薬用植物培養細胞 / ファイトアレキシン / エリシター / 細胞壁 / イソフラボン配糖体 / Pueraria lobata |
Research Abstract |
1.クズ(Pueraria lobata)、マオウ(Ephedra distachya)、カンゾウ(Glycyrrhiza uralensis)、ダイオウ(Rheum coreanumxR.palmatum)、ミシマサイコ(Bupleurum falcatum)、ハンゲ(Pinellia terneta)、オニドコロ(Dioscorea tokoro)からカルスを誘導し、このうち、クズ、マオウ、オニドコロについては振盪培養の条件を確立し、それぞれ主成分について定性定量を行った。 2.ファイトアレキシンエリシターとしては、Phytophthora megaspermaの培養菌体より、糖タンパク画分(Ping-GP)、グルカン画分(Pmg-G)を、またクズ培養細胞細胞壁よりペクチナーゼ分解によりオリゴガラクチュロン酸画分(Pl-CF)を、また市販のイーストエキス(YE)およびこれを分画したグルカン画分(YE-G)、市販ペクチン(CP)を用意した。 3.本年度は主にクズ培養細胞系における各種エリシターの効果を検討した。本研究に用いているクズ培養細胞は、生薬葛根の有効成分であるダイゼインおよびその配糖体であるダイズィン、プエラリン等のイソフラボン配糖体を生産するが、Pmg-GP、YE、Pl-CFの添加により、それらの生産量は数倍〜数10倍に上昇した。エリシターの由来の違いにより生成物のパターンに若干の差が見られ、詳細については現在検討中である。また、これらイソフラボン配糖体の生合成酵素のうち、カルコンシンターゼ、カルコン異性化酵素、イソフラボンシンターゼについてその活性を比較したところ、いづれの酵素も、エリシター添加後18〜22時間に活性上昇を示し、イソフラボン配糖体の生産量増加が、エリシター添加によるこれら生合成酵素の誘導の結果であることが示された。 4.次年度においては、マオウにおけるエフェドリン、ダイオウにおけるセンノサイド、オニドコロにおけるジオスゲニンの生産および、Agrobacterium rhizogenesにより誘導した毛状根培養系におけるエリシター添加の効果を検討する予定である。
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