1988 Fiscal Year Annual Research Report
分子状酸素活性化剤および活性酸素種不活性化剤の開発と薬学的応用
Project/Area Number |
63470128
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
木村 栄一 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 教授 (30034010)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩谷 光彦 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (60187333)
小池 透 広島大学, 医学部, 講師 (90186586)
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Keywords | 大環状テトラアミン / コバルト(II)錯体 / 1:1酸素付加体 / 大環状トリアミン / 銅(II)錯体 / SOD様活性 |
Research Abstract |
大環状ポリアミンはその構造上、各種の化学修飾が容易である。例えば、環の拡大および縮小、ドナー原子の変換、様々な官能基の導入等である。これらの操作と種々の金属イオンを組合せることにより、目的に応じたデザインが可能である。我々は、これらの考えをもとに分子状酸素活性化剤および活性酸素種不活性化剤の開発に努めている。 今年度は種々のペンダントドナー(フェノール、ピリジン、イミダゾール基等)を持つ大環状テトラアミン金属錯体の合成に主軸をおいて研究を進めた。その結果、20種以上の新しい金属錯体の合成に成功し、FT-IRにより固体および溶液状態でのシス、トランスなどの立体構造やアミド窒素の配位様式を詳しく検討することができた。それら錯体と分子状酸素との直接相互作用をESR測定により検討した結果、ピリジンとイミダゾール基を持つ14員環ペンダントサイクラムは1:1組成を持つ酸素-コバルト(II)錯体を水溶液中で形成することが明らかとなった。人口系ではこのような例は殆どなく大変注目される。FT-IRおよびラマン分光法により水溶液中でのO_2伸縮振動の測定を試みたが、現在のところ測定条件の最適化を行なっている段階である。 当初、ペンダントドナーによる銅(I)錯体の安定化を予想し、SOD様活性を持つ大環状テトラアミン-銅(II)錯体の開発を目指したが、テトラアミン系では銅(I)錯体へのスムースなレドックス反応が起こらなかった。そこで、我々の開発した合成法をトリアミン系に応用して、一連のペンダントを持つ大環状トリアミン錯体を新たに合成した。これらは、銅(I)イオンの配位様式(テトラヘドラル構造)に巧くフィットすることができるため、スムースな銅(I/II)レドックスが起きることが予想され、酸素分子やスーパーオキシドイオンとの直接相互作用が期待される。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] E.Kimura;T.Koike;M.Kodama;Y.Iitaka, et al: Inorg.Chem.26. 2975-2983 (1987)
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[Publications] E.Kimura;T.Koike;H.Nada;Y.Iitaka: J.Chem.Soc.Chem.Commun.1322-1323 (1987)
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[Publications] E.Kimura;M.Shinoya;T.Mita;Y.Iitaka: J.Chem.Soc.Chem.Commun.1712-1714 (1987)
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[Publications] E.Kimura;T.Koike;H.Nada;Y.Iitaka: Inorg.Chem.27. 1036-1040 (1988)