1988 Fiscal Year Annual Research Report
マイケル付加タイプ不斉合成反応を触媒する酵素の構造ー機能相関の研究
Project/Area Number |
63470136
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
徳重 正信 京都大学, 理学部, 教授 (20025266)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湯本 昇 京都大学, 理学部, 助手 (30200877)
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Keywords | マイケル付加反応 / アスパルターゼ / フマラーゼ / オリゴマー酵素 / 遺伝子操作 / 化学修飾 / 構造ー機能相関 |
Research Abstract |
フマル酸へのアンモニア付加によるLーアスパラギン酸の生成、およびフマル酸への水の付加によるLーリンゴ酸の生成反応に代表される、マイケル付加タイプの不斉合成反応をそれぞれ触媒する、アスパルターゼとフマラーゼの分子構造と機能発現の機作を、遺伝子操作と化学修飾の手法を用いて研究し、以下の結果を得た。 1.アスパルターゼのシステイン430は化学修飾法によりその活性に関与する残基として考えられてきた。このシスティン残基をsitedirected mutagenesisによりトリプトファン残基に変換したC430Wアスパルターゼのクローニングと酵素精製を行った。Lーアスパラギン酸の結合定数は、野性型で1mM、変異型では29mMであり、触媒活性は十分に保持されていた。これらのことからシスティン430は活性発現に直接は関わってはいないものの、活性化部位近傍に位置していることが示唆された。 2.4個の同一ペプチド鎖から形成されているアスパルターゼは、それぞれの活性部位がサブユニットあたり1ケ所、合計4ケ所存在しているとされている。本酵素の四次構造形成と活性発現との相関を、化学修飾法、酵素固定化法、ゲルろ過法などにより詳細に調べた結果、アスパルターゼの単量体、2量体、3量体はほとんど活性をもたず、活性発現には4量体形成が必須であることが明らかになった。 3.大腸菌の別々の遺伝子に対応して存在することが予想される3種類のフマラーゼのうち、活性発現には二価鉄イオンを要求するものと要求しないものが存在することを明らかにした。この二価鉄イオン非要求性のフマラーゼを高度均一精製したところ、Fum C遺伝子産物であることが明らかになった。二価鉄イオン要求性のフマラーゼの高度精製も目下進行中である。
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[Publications] Yumoto,N.: Biochem.Biophys.Res.Commun. 153. 1236-1243 (1988)
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[Publications] Higashi,Y: Biochem.Int.17. 103-109 (1988)
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[Publications] Higashi,Y: Biochem.Int.16. 449-452 (1988)
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[Publications] Imaishi,H.: Biochim.Biophys.Acta. (1989)
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[Publications] Oda,T.: J.Biochem.104. 178-183 (1988)
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[Publications] Tokushige,M.: Biochimie. (1989)
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[Publications] 徳重正信: "酵素のはたらき" 東京大学出版会, 1-123 (1988)