1989 Fiscal Year Annual Research Report
クラウンゴ-ル腫瘍形成の分子機構の研究(単子葉植物へのT-DNA転移)
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63480013
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
町田 泰則 名古屋大学, 理学部, 教授 (80175596)
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Keywords | アグロバクテリウム / T-DNA / クラウンゴ-ル腫瘍 / 植物 / TLプラスミド / vir遺伝子 / 単子葉植物 |
Research Abstract |
我々は、これまでに、アグロバクテリウムが植物に感染すると、バクテリア内でTiプラスミドからT-DNAが切り出され、環状化することを見い出した。さらに、この環状化反応は、植物から由来する物質により誘導されること、Tiプラスミド上のvir遺伝子群が必要であることを示した。また、双子葉植物だけでなく、単子葉植物にも、T-DNAの切り出しを誘導する物質が存在するかどうかを検討した。その結果、単子葉植物には、双子葉植物とは異なる新しいタイプの誘導物質(シグナル物質)が存在することが明らかになった。 昨年度の研究からvir遺伝子発現を誘導する活性は精製の途中で、粗水性画分と水溶性画分の二つの画分に分かれることがわかった。 また、粗水性画分の誘導物質は、フェノ-ル化合物の1種であるフェルラ酸であることがわかった。フェルラ酸はリグニン合成の中間体であり最終的には多糖に結合し細胞壁のポリ多糖に結合している構成成分になることが知られている。本年度は、親水性画分の成分について詳細に解析した。その結果次のことが明らかになった。 1.親水性物質は、それ自身ではvir遺伝子の発現は誘導しないが、活性の弱いフェノ-ル性の誘導物質の働きを著しく促進する。 2.種々のクロマトグラフィ-の結果から、それはおそらく単糖であると考えられた。このような促進物質は単子葉、双子葉の両者に存在している。 3.購入した純度の高い単糖をもちいて、どんな糖が促進するかを検討したところ、効果のあるものとはD-キシロ-ス、L-アラビノ-ス、D-ガラクト-ス、D-グルコ-ス、であること、D-マンノ-ス、D-タロ-スも弱いが効果があることがわかった。
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Research Products
(11 results)
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[Publications] Yasunori Machida et.al.: "Mechanisms of Crown Gall Formation:T-DNA Transfer from Agrobacterium tumefaciens to plant cells" Botanical Magagine,Tokyo. 102. 331-350 (1989)
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[Publications] Chiyoko Machida & Yasunori Machida: "Regulation of IS1 Transposition by the insA Gene Product" Jounal of Molecular Biology. 208. 567-574 (1989)
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[Publications] Y.Takahashi,H.Kuroda,T.Tanaka,Y.Machida,I.Takebe,& T.Nagata: "Isolation of an auxin-regulated gene cDNA expressed during the transition from G_O to S phase in tobacco mesophyll protoplasts" Proceedings of National Academy of Sciences,USA. 86. 9279-9283 (1989)
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[Publications] K.Matsuoka,S.Matsumoto,T.Hattori,Y.Machida,& K.Nakamura: "Correct vacular targetting and two step processing of the sweet potato tuberous root storage protein precursor in heterologous plant cells"
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[Publications] N.Shimoda,J.Nagamine,S.Usami,M.Katayama,Y.Sakagami & Y.Machida: "Control of expression of Agrobacterium vir genes by the synergistic action of phenolic signal molecules and monosaccharides in plants"
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[Publications] S.Matsumoto,Y.Itoh & Y.Machida: "Mode of integration of Agrobacterium T-DNA into plant chromosome:Involvement of DNA homology between T-DNA and plant DNA"
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[Publications] 松本省吾,町田千代子,町田泰則: "トランスジェニック植物の作製法" 細胞工学. 8. 721-727 (1989)
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[Publications] 町田泰則: "遺伝子導入の原理と方法" 植物細胞工学. 1. 19-29 (1989)
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[Publications] 岡本繁久,町田泰則: "クラウンゴ-ル腫瘍=T-DNA転移の分子機構=" 蛋白質・核酸・酵素. 34. 1804-1814 (1989)
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[Publications] 町田泰則: "最新植物工学要覧・山口彦之,高山真策,大野辰美編集" R&Dプランニング, 11 (1989)
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[Publications] 町田泰則: "高等植物の遺伝情報と制御・池田穰衞,岡田吉美編集" 丸善株式会社, 20 (1990)