1989 Fiscal Year Annual Research Report
胚子発育に伴う中枢神経系の分化と神経ペプチドホルモンの作用機作
Project/Area Number |
63480046
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
普後 一 東京農工大学, 農学部, 助教授 (90111640)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黄色 俊一 東京農工大学, 農学部, 助教授 (80015081)
|
Keywords | 胚子発育 / 中枢神経系 / ペプチドホルモン / 前胸腺刺激ホルモン / 羽化ホルモン / イミダゾ-ル化合物 / 永続蛹 / カイコガ |
Research Abstract |
1.カイコガ単為発生の機構を解明する端緒として、温湯処理法を用いて単為発生卵を大量に得、その胚子発育と卵内構成成分の変化について検討した。その結果、単為発生卵の胚子発育は正常胚子発育と何ら遜色なく進行する事を明らかにした。 2.神経ペプチドホルモンの生物検定法を確立した。即ち、従前の生物検定法の欠点を改良し、胚子中の神経ペプチドホルモンの単離・精製を簡易にできるようにした。 3.エリ蚕胚子中の神経ペプチドホルモンの内、羽化ホルモンの抽出と部分精製に成功した。エリ蚕胚子由来の羽化ホルモンの性質は、熱に安定な分子量8,500のペプチドホルモンであった。エリ蚕胚子由来の羽化ホルモンはカイコガ潜成虫の羽化を誘導でき、カイコガ胚子由来の羽化ホルモンとほぼ同一のものと判断された。 4.カイコガ脳-側心体-アラタ体の長期培養に成功した。この培養系を用いて羽化ホルモンが周期的に放出される事を証明した。この培養系は神経ペプチドホルモンの研究を飛躍的に進展させるものと期待される。 5.この他に(1)胚子発育に対する抗昆虫ホルモン剤(KK-42)の投与が胚子発育を濃度依存的に阻害する事を明らかにしたが、作用機作を究明するまでには到らなかった。 (2)カイコガ胚子から羽化ホルモン、Bombyxinの抽出・精製に成功したが、単離にまでは到らなかった。 (3)カイコガ胚子の培養系の確立を試み、剛毛発生期まで培養することに成功した。しかし、神経ペプチドホルモンの関与に対する研究は次の課題として残された。 (4)羽化ホルモンに対する抗体の分与を受け、胚子発育に伴う羽化ホルモンの動的変化についての研究に着手することが出来た。胚子の産卵場所への固定に使われる膠質物質について研究し、膠質腺蛋白質の合成部位を明らかにした。 これら得られた結果について、論文として一部は印刷公表され、一部は論文審査段階にある。
|
-
[Publications] 普俊一: "カイコガ単為発生卵と受精卵中の構成成分の比較" 日本蚕糸学雑誌. 58. 351-352 (1989)
-
[Publications] 榊原弥佳: "カイコガ脳-側心体-アラタ体の培養と羽化ホルモン活性" 日本応用動物昆虫学会誌. 34-1990. (63-70)
-
[Publications] HITOSHI SAITO: "Eclosion hormone activity during the embryonic development of the Saturniid silhmoth,Samia cynthia sicini Donovan(Lepidcptera:Saturniidae)" Applied Entomology and Zoology. 25. 85-93 (1990)
-
[Publications] 普俊一: "KK-42処理除脳蛹を使った前胸腺刺激ホルモン生物検定法" 日本応用動物昆虫学会誌. 34. (1990)
-
[Publications] MIKA SAKAKIBARA: "In Vitro eclosion hormone synthesis and secretion in the brain-retro-cerebral complexes of the silkworm,Bombyx mori." Journal of Insect Physiology. 36. (1990)
-
[Publications] HAJIME FUGO: "Ovarian development in the KK-42 treated brainless pupae of the silkworm,Bombyx mori" Physiological Entomology.