1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63480047
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
武井 隆三 信州大学, 繊維学部, 助教授 (80021161)
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Keywords | カイコ / 不受精卵 / 内分泌 / タンパク |
Research Abstract |
不受精卵の発現を軽減することは蚕種製造の実用面から極めて重要な問題である。一般に生殖巣内における精子と卵形成は内分泌ホルモンの影響をうけ成熟することが知られている。また受精能は卵発育が未熟な場合にはえられないことも知られている。そこで卵成熟に密接な関連のある内分泌ホルモンが不受精卵の発現にどの程度影響をおよぼすかを調べるために遺伝的な不受精多発卵系統(Xuー20)を用い、5令2日目の雌雄幼虫に合成幼若ホルモン(大塚製薬:マンタ)と脱皮ホルモン(ロート製薬:エクジソン)を1頭当り10μg投与したものと無処理のものを設け、同一環境下で保護し、成虫化したのち、交尾産卵させて不受精卵の発現率を調査した。 1.幼若ホルモンを投与したものは不受精卵の発現率が最も高く、次に無処理のもので脱皮ホルモン投与したものが最も低かった。 2.内分泌ホルモンが不受精卵の発現と関連のあることがわかったので内分泌ホルモンの合成と分泌能が遺伝的に異なる3眠蚕(M^3)、4眠蚕(t^M)および5眠蚕(M^5)を供試し、これらの系統にXuー20を交配し、F_2世代に分離してくる3眠蚕、4眠蚕および5眠蚕について、産卵後不受精卵の発現状況を調査した。その結果、3眠蚕、4眠蚕、5眠蚕の順に不受精卵の発現率は高かった。すなわち、幼若ホルモンの分泌能の高い3眠蚕が最もその発現が高く、幼若ホルモンが不受精の発現を高める作用のあることがわかった。 3.不受精卵と正常卵を産下する各系統を用いて、2次元電気泳動法により体液と卵内のタンパクの性状を調査した。その結果、体液タンパクでは不受精系統では正常系統と比較した場合、スポットの数が多い。しかし、卵についてみた場合には体液の場合とは逆の結果がえられた。
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Research Products
(1 results)