1988 Fiscal Year Annual Research Report
生体膜リン脂質のオルガネラ特異的合成と細胞内移動に関する分子遺伝子的研究
Project/Area Number |
63480054
|
Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
太田 明徳 埼玉大学, 理学部, 助教授 (30125885)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松崎 博 埼玉大学, 理学部, 助手 (80008870)
渋谷 勲 埼玉大学, 理学部, 教授 (60013306)
|
Keywords | リン脂質 / ホスファチジルセリンシンターゼ / ホスファチジルセリンデカルボキシラーゼ / CHO1 / Saccharomyces cerevisiae / リン脂質合成 / オルガネラ / 酵素局在性 |
Research Abstract |
1.細胞内の所在変更を試みるリン脂質合成系酵素として、酵母ミクロソーム結合性のホスファチジルセリンシンターゼ(PSシンターゼ)を選んだ。この酵素は遺伝子CHO1にコードされており、CHO1遺伝子一次産物のN末端から70アミノ酸程までは比較的親水性アミノ酸に富み、ミクロソーム結合に必要ないわゆる分泌シグナルのようなものはない。この酵素の所在を変更するためにはこの酵素自身の局在シグナルを知る必要がある。そこで、CHO1の酵素コードの領域の上流域と大腸菌lacZ遺伝子酵素コード領域N末端と結合して作成したCHO1-lacZ融合遺伝子を酵母細胞内で発現させ、融合遺伝子産物の酵母細胞内局在性を調べたところ、PSシンターゼのミクロソーム局在に必要な領域はその遺伝子一次産物N末端から129アミノ酸残基以内にあることと、膜膜結合性には115番目から129番目までの疎水性アミノ酸に富む領域が重要であることが分かった。この領域より上流の親水性ポリペプチドの役割について、分泌シグナルを持たないインベルターゼ遺伝子との融合遺伝子の作成とこの領域の部分的欠失の作成とを組み合わせた解析を進めている。また、この酵素の局在変更のために長谷氏(名大農)より分与されたミトコンドリア外膜の70K蛋白ターゲッティング配列遺伝子とCHO1との融合遺伝子の作成中である。 2.パン酵母ミトコンドリアに局在するホスファチジルセリンデカルボキシラーゼの活性はイノシートルの有無によって変動した。この酵素の活性異常変異株の1つはpet変異株であった。次年度はこの遺伝子のクローン化と他の変異株の解析を行なう予定である。 3.電気穿孔法により蛍光標識ホスファチジルコリン小胞を酵母細胞に入れることを試みたが有意な結果を得られなかった。次年度は酸性リン脂質について試みる予定である。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] Takeshi,Hikiji: Journal of Biochemistry. 104. 894-900 (1988)
-
[Publications] Akinori,Ohta: Proceedings of 29th International Conference on the Bio-chemistry of Lipids. 144 (1988)
-
[Publications] 太田明徳: Radioisotopes. 37. 535-543 (1988)
-
[Publications] 太田明徳: "「酵母のバイオサイエンス:伝統と新展開」酵母における膜アミノリン脂質の生合成" 学会出版センター, (1989)