1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63480058
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
江藤 守総 九州大学, 農学部, 教授 (70038173)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平島 明法 九州大学, 農学部, 助手 (50199056)
桑野 栄一 九州大学, 農学部, 助手 (00108672)
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Keywords | 五員環状リン酸アミドエステル / サイクリックAMP / トレハラーゼ / オクトパミン / 殺虫活性 / 立体化学 |
Research Abstract |
昆虫神経機能に重要な伝達物質・ニューロホルモンあるいは神経修飾物質として作用するオクトパミンの関連物質を合成して、五員環状リン酸アミドエステルの2-メトキシ-5-フェニル-1,3,2-オキシアザホスホリジン2-スルフィド(5-PMOS)に殺虫性を認めた。5-PMOSは不斉原子2箇を有するので、立体特異的合成法を開発して4種の立体異性体をすべて合成した。殺虫活性は(R)c(R)p>(R)c(S)p>(S)c(R)p>(S)c(S)pの順となり、リン原子の立体配置はR,5位炭素はオクトパミンと同じRが好ましい事が分かった。この合成法をサリゲエン環状リン酸エステルの光学活性体の合成に利用したところ、若干のラセミ化が起きたので、プロリン誘導体法によって、光学純度の高いサリチオンを得、その絶対構造をX線結晶解析で確かめた。光学活性サリオチンの殺虫活性はS体がR体に勝った。 5-PMOSと6-ロイシンから誘導した類似の殺虫活性4-イソブチル五員環状リン酸アミドエステル(BMOS)をTribolium castaneum幼虫に致死濃度以下で摂食させたところ、消化酵素への影響は殆ど無かったが、成育抑制と共にトレハラーが活性の抑制が認められた。これら有機リン化合物はin vitroではこの酵素を阻害しない。一方、サイクリックAMPの増大が認められた。これらの現象は、いずれも五員環状リン酸アミドエステルの投与量と相関しており、非環状有機リン剤ではこのような現象は認められなかった。オクトパミンはセカンドメッセンジャーのサイクリックAMPを介して機能し、また昆虫のトレハラーゼ活性を高めることが報告されている。上記の五員環状リン酸アミドエステルによって引き起こされた現象の生化学的関連については検討中である。 なお、抗幼若ホルモン活性物質を得る目的で、主にETB関連物質を多数合成したが、先に発見したプレニルイミダゾール類に劣った。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] E.Kuwano: J.Fac.Agr.,Kyushu Univ.33. 17-28 (1988)
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[Publications] S.-Y.Wu: Agric.Biol.Chem.53. 157-163 (1989)
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[Publications] S.-Y.Wu: Agric.Biol.Chem.53. 165-174 (1989)
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[Publications] A.Hirashima: Agric.Biol.Chem.53. 175-178 (1989)