1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63480067
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
沖山 宗雄 東京大学, 海洋研究所, 教授 (00111584)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宗宮 弘明 麻布大学, 獣医学部, 講師 (50147972)
大竹 二雄 東京大学, 海洋研究所, 助手 (20160525)
塚本 勝巳 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (10090474)
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Keywords | 変態 / ニギス亜目 / ソコイワシ / ハイレン / ババガレイ / ナミアイトラギス |
Research Abstract |
サケ目ニギス亜目を中心に興味深い知見が得られた。本亜目の日本産4科10属17種中4科7属15種(4タイプを含む)について初期生活史に関する情報が集積され、これらの外部形態、骨格系、歯系、消火器系、嗅覚系、視覚系の発達について比較検討した。各種ともに系統的な拘束を受けながらも、生息環境に適応的な初期生活史特性を有し、変態現象も様々なレベルで機能していることが推測された。特に仔魚期を表層で過し、稚魚から未成魚期にかけて中深層へと生息深度を移行するソコイワシにおいては明確な変態期の存在が認められた。この間の形態変化は全体的に顕著な不連続相を示すが、体長の減少、消化系組織の退行、一部骨格系の脱化骨などは一時的な発育の逆行的現象でもあり、変態現象の特殊な側面として注目された。これはウナギ目におけるレプトセファルス幼期を有する変態例にも対比されるべき事象と考えられる。また生活様式を異にする代表的3種、ニギス、ソコイワシ、ヒナデメニギスの比較を通じて、卵を含む初期発育特性、感覚系の形式序列が各々の適応戦略をよく反映していることが推測され、変態現象と生残とのかかわりについても多くの示唆が得られた。カライワシ亜目の変態については、試料の採集が予定通りすすまなたったが、ハイレンについて長期間の飼育を通じて変態後期を中心に形態変化の検討をおこなった。組織学検討を現在も継続中である。カレイ目についてはババガレイの変態について取りまとめ、学会発表をおこなった。なお、沿岸性のホカケトラギス科の1種ナミアイトラギスについて初期初育段階の標本がえられ、その特化した浮遊稚魚について検討を加えた。いわゆる「前稚魚」と呼ばれる発育段階と変態現象について考察する上で、ナミアイトラギスは興味深い素材と思われた。
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