1988 Fiscal Year Annual Research Report
フタトゲチマダニの吸血、発生及び生態とタイレリア原虫の生活環
Project/Area Number |
63480082
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
内田 照章 九州大学, 農学部, 教授 (50038163)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
毛利 孝之 九州大学, 農学部, 助手 (00089939)
白石 哲 九州大学, 農学部, 助教授 (30038319)
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Keywords | フタトゲチマダニ / 雄の唾液腺III型腺胞 / 雌の吸血様式と産卵性 / 卵黄形成 / 卵殻形成 / 若虫の飽血と離脱 / 体重減少と排泄 / グアニンとヘマチン |
Research Abstract |
1.フタトゲチマダニ雄の唾液腺III型腺胞の形態変化と機能との関係を調べた。III型腺胞は顆粒性のc及びd細胞と非顆粒性のe細胞、反腔間細胞、及び腔面間細胞の5種類から成り、セメント物質の前駆物質を分泌するcとd細胞は吸血期間中、高い分泌活動を示した。e細胞と反腔間細胞には水分輸送上皮に特徴的な著しい細胞膜嵌入が認められたが、大量の吸血と水分排泄を要する雌ダニに比して、細胞容積は余り増加しなかった。 2.フタトゲチマダニ雌の吸血様式と産卵性との関りを調べた。両性生殖系(2n)の雌は雄不在の場合、吸血期間が延長されたにも拘らず大きくなれず、飽血離脱できなかった。交尾は早いものでは吸血開始後3-4日(体の容積10mm^3)で起こった。産卵数と吸血雌体重との間には正の相関があり、体重が重いほど産卵数は多かった。非産卵と産卵との臨界体重は28.4mgであった。単為生殖系(3n)の雌における飽血体重及び吸血期間の長さは、2nと同じであった。 3.フタトゲチマダニの卵黄と卵殻形成に関して電顕的観察を行なった。本種の卵母細胞は血体腔からの卵黄前駆物質を吸収し、細胞内で卵黄を再合成すること、また卵殻は卵母細胞自身によって形成される第一次卵膜であることが明らかにされた。 4.フタトゲチマダニ若虫の飽血離脱以降の期間における体重減少と排泄との関連を調べた。前脱皮期間と脱皮後の期間における体重減少、運動性及びグアニンとヘマチンの排泄量変化から、雌雄とも前者は三つの、後者は二つの生理学的な相に分けられることを示した。また、ヘマチンの排泄パターンから、脱皮に関与した急激なヘモグロビン消化の期間を推定した。 5.その他として、恒温下(30℃)におけるフタトゲチマダニの発育と成長に及ぼす湿度の影響、及び沖縄県を含む九州の野生哺乳類に寄生していたダニ相を調べた。以上の詳細については、次頁の発表論文リストを参照願いたい。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] H.Yanagawa,et al.: J.Fac.Agr.,Kyushu Univ.33. 37-45 (1988)
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[Publications] Y.Yano,et al.: J.Fac.Agr.,Kyushu Univ.33. 287-296 (1989)
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[Publications] Y.Yano,et al.: Zoological Science. 5. 1252 (1988)
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[Publications] K.Koh,et al.: J.Med.Entomol.26. 77-80 (1989)
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[Publications] Y.Yano,et al.: J.Fac.Agr.,Kyushu Univ.32. 141-146 (1988)
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[Publications] H.Kakuda,et al.: J.Fac.Agr.,Kyushu Univ.33. 267-274 (1989)