1988 Fiscal Year Annual Research Report
テニア科条虫の成虫に対する腸管粘膜応答を主体とした排除機構の解析
Project/Area Number |
63480086
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
神谷 正男 北海道大学, 獣医学部, 教授 (30081665)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 守 実験動物中央研究所, 研究員 (00176364)
岡本 宗裕 北海道大学, 獣医学部, 助手 (70177096)
奥 祐三郎 北海道大学, 獣医学部, 講師 (60133716)
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Keywords | 免疫 / 消化管粘膜 / 寄生虫 / テニア科条虫 / エキノコックス / 代替動物 / ゴールデンハムスター / スナネズミ |
Research Abstract |
テニア科条虫には、食肉用動物に対する病変による経済的損失のみならず、公衆衛生面からも重要な人獣共通寄生虫など、多くの種類が含まれる。近年、その中でも特にエキノコックス(Echinococcus multlo-cularis)の分布拡大は世界的な傾向にあり注目されている。畜産形態の大規模化にともなって増大する畜産廃棄物や厨芥に依存する肉食獣(キタキツネ、タヌキ、野犬など)の増加と密接な関係がある。テニア科条虫の防除対策として最も有効と考えられる成虫(虫卵)対策の基礎的な研究として、条虫:多包条虫、猫条虫、Taenia crassicepsと終宿主:イヌ、ネコ、ならびにハムスタースナネズミの組合せで、成虫の発育抑制ならびに排除機構を明らかにすることを目的とする。腸粘膜におけるアレルギー反応に主眼をおいて宿主側と寄生虫側の変化を解析したのち、虫体の排除に必要な変化を誘導する方法を検討する。 本年度は、エキノコックスと近縁テニア科条虫の実験系の確立のためエキノコックスと近縁種(猫条虫、T.crassiceps と T.polyacantha)の実験室内継代を実施した。また、国内分離株に加えて、アラスカその他の分離株(3種のテニア科条虫)の継代が可能となった。 ゴールデンハムスターとスナネズミがエキノコックスとI.crassiceps終宿主となることを明らかにした。とくにゴールデンハムスターは無処置(その他は免疫抑制処置が必要)でI.carssiccpsの虫卵を産生することが明らかとなり、テニア科条虫の成虫に対する腸管粘膜応答を主体とした排除機構の解析が実験小動物を用いて初めて可能となった。 このモデルは従来、テニア科条虫の維持には被食者(草食獣)--捕食者(肉食獣)間で成立し、終宿主のイヌ・ネコを必要としていたが齧歯類(キヌゲネズミ科)のみで生活環が維持可能となり意義は大きい。
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Research Products
(22 results)
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[Publications] KAMIYA,Masao: Nature.
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[Publications] KAMIYA,Masao: Science.
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[Publications] KITAOKA,Mayoko: Journal of Parasitology.
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[Publications] MIYAJI,Suguru: Parasitology Research.
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[Publications] NONAKA,Nariaki: Folia Parasitologica.
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[Publications] SAITOH,Ryu: Parasitology.
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[Publications] AZUMA,Hiroshi: Japanese Journal of Veterinary Research. 37. (1989)
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[Publications] INABA,Chieko: Japanese Journal of Veterinary Research. 37. (1989)
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[Publications] SATO,Hiroshi: Japanese Journal of Parasitology. 38. 46-53 (1989)
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[Publications] ISHIWATA,Kenji: Journal of Experimental Medicine.
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[Publications] ITOH,Kazuhiro: Japanese Journal of Veterinary Research. 37. (1989)
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[Publications] KAMIYA,Masao: Asian Medical Journal. 31. 87-93 (1988)
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[Publications] 大林正士: メディヤサークル. 33. 81-88 (1988)
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[Publications] 神谷正男: モダンディア. 34. 343-351 (1988)
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[Publications] 神谷正男: 日本医師会雑誌. 97. 1921-1925 (1988)
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[Publications] 神谷正男: ふぉーなす. 8. 7-8 (1988)
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[Publications] ISHIWATA,Kenji: Japanese Journal of Veterinary Reseach. 36. 154 (1988)
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[Publications] IWAKI,Takashi: Japanese Journal Veterinary Reseach. 36. 156 (1988)
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[Publications] KITAOKA,Mayoko: Japanese Journal of Veterinary Research. 36. 159 (1988)
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[Publications] 神谷正男: "エキノコックスの生活環とその地理的分布(上本騏一編:病原媒介動物の生物地理--分布と種分化をめぐって)" 東海大学出版会, (1989)
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[Publications] 神谷正男: "微生物の各種抵抗性:寄生虫(前島一淑編:実験動物施設における滅菌・消毒作業マニュアル)" ソフトサイエンス社, 151 (1988)
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[Publications] 大林正士: "エキノコックス。広範囲血液・尿化学検査、免疫学的検査" 日本臨床社, (1989)