1989 Fiscal Year Annual Research Report
下垂体前葉支配に関する視床下部神経機構・免疫組織化学的研究
Project/Area Number |
63480096
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
大黒 成夫 徳島大学, 医学部, 教授 (60035376)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鶴尾 吉宏 徳島大学, 医学部, 助手 (90207449)
川野 仁 徳島大学, 医学部, 講師 (20161341)
久野 節二 徳島大学, 医学部, 講師 (70136216)
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Keywords | 視床下部 / 下垂体前葉支配 / 神経機構 / 免疫組織化学 / ラット |
Research Abstract |
実験にはラットを用いている。研究の手段としては、電顕的2重免疫標識・視床下部内神経路切断・発生学的手法、通常光顕的2重免疫標識などを用いている。まず、卵巣と視床下部性機能中枢との神経性連絡について研究した。卵巣における卵胞の発育を中枢に伝える神経絡を求めて、卵胞にノイロペプチドY(NPY)を含む神経線維があることを確かめ、これが迷走神経上神経節の細胞由来であることを、卵巣に逆行性標識物質であるWGAを投与することによって確かめた。次で、上神経節にWGAを注入、延髄の孤束核にWGA標識線維が分布することを確かめた。この線維分布はNPY線維の分布と一致する。このことは、卵巣における卵胞の成長に関する情報は孤束核のカテコルアミン含有細胞に伝えられる事を示す。この線維は視索前野に存在する性腺刺激ホルモン放出ホルモン(LHRH)産生細胞に到達することが知られているので、この研究はラットにおいて卵胞の成長の情報が、LHRH細胞に伝えられ、これを刺激することにより、LHRHの生産が変動して性腺機能を支配する求心性神経路の存在を明らかにした。これに関係してLHRH細胞が視床下部弓状核におけるP物質生産細胞とNPY生産細胞からの神経突起によって神経性に支配されることを、明らかにした。さらに、LHRH細胞の起源が、鼻の鋤鼻器にあることを、免疫組織化学的手法と、鋤鼻器の脳室内移植によって明らかにした。このことにより、従来、嚊脳の遺伝的欠損によりおこるとされたKallman症候群は鼻粘膜でのLHRH生産欠損に由来することが明らかになった。また視床下部と下垂体前葉との機能的連絡を行なう正中隆起の発生過程を明らかにし、胎生の末期には、LHRH含有線維が正中隆起に到達していることを示した。また、LHRH細胞を支配するNPY細胞の発生、NPY細胞の線維が室傍核のバゾプレシン細胞を支配することを示した。
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[Publications] Kawano,H.,Daikoku,S.: "Possible participation of vagus nerve in the regulation of ovarian function." Biomed.Res.10. 163-169 (1989)
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[Publications] Daikoku,S.,Tsuruo,Y.,Hashimoto,T.,Okamura,Y.,Yokote,R.: "Hypothalamic neurons from a developmental aspect." Arch.Histol.Cytol.52,Suppl.217-223 (1989)
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[Publications] Kagotani,Y.,Tsuruo,Y.,Hisano,S.,Daikoku,S.,Chihara,K.: "Synaptic regulation of paraventricular arginin vasopressin-containing neurons by neuropeptide Y-containing mono-aminergic neurons in rats.Erectron-microscopic triple labeling." Cell Tissue Res.257. 269-278 (1989)
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[Publications] Kagotani,Y.,Hashimoto,T.,Tsuruo,Y.,Kawano,H.,Daikoku,S.: "Development of the neuronal system containing neuropeptide Y in the rat hypothalamus." Int.J.Dev.Neuroscience. 7. 359-374 (1989)
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[Publications] Ugrumov,M.,Hisano,S.,Daikoku,S.: "Topographic relations between tyrosine hydroxylase-and luteinizing hormone-releasing hormone-immunoreactive fibers in the median eminence of adult rats." Neuroscience Letters. 102. 159-164 (1989)
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[Publications] Kagotani,Y.,Tsuruo,Y.,Hisano,S.,Daikoku,S.,Chihara,K.: "Axons containing neuropeptide Y innervate arginine vasopressin-containing neurons in the rat paraventricular nucleus.Dual electron microscopic immunolabeling." Histochemistry. 91. 273-281 (1989)
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[Publications] Daikoku,S.,Maegawa,M.,Chikamori-Aoyama,M.,Hisano,S.: "Comparative aspects of circadian clocks(分担)" Hokkaido University Press,Sapporo, 223 (1987)
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[Publications] 大黒成夫,久野節二,鶴尾吉宏: "内因性神経活性物質(分担)" 中外医学社, 318 (1989)