1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63480105
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
久野 宗 京都大学, 医学部, 教授 (50142295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八尾 寛 京都大学, 医学部, 助手 (00144353)
高橋 智幸 京都大学, 医学部, 講師 (40092415)
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Keywords | 運動ニューロン / 発芽 / 可塑性 / 筋肉 / 神経筋接合部 |
Research Abstract |
神経終末端における発芽形成はシナプスの機能の可塑的変化の形態的基盤と仮定されている。研究代表者らは先にカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)が運動神経終末端の発芽形成を抑制することを見いだした。しかし、この発芽抑制に伴う伝達物質の放出の低下は観察されなかった。したがって、神経終末端の発芽形成の有無は必ずしもシナプス機能の可塑的変化と相関しないことは明らかである。この実験結果に基ずいて、運動神経終末端に実験的に発芽を誘発した時に、従来仮定されていたような神経筋伝達の亢進が事実伴われるかを検討した。実験には成熟ラットを用い、一側の坐骨神経の伝導をテトロドトキシンの局所投与によって慢性的にブロックした。下肢の不動化した長指伸展筋(EDL)の運動神経終末端の全長及び発芽形成を形態的に測定し、またその神経筋接合部における伝達物質の放出量は終板電位の素量子解析によって測定した。これらの測定は神経伝導をブロックした実験側のEDL筋と反対側の対照EDL筋に関して実施した。神経の伝導ブロックは最小12時間から最大10日間の種々の期間持続した。運動神経終末端の発芽は正常筋では約3%の神経筋接合部において観察されたが、この比率は2日間の伝導ブロックでは変化せず3日間の伝導ブロックで12%に上昇し、10日間のブロックでは86%に増加した。また、神経終末端の全長は伝導ブロックを4日間実施した時に1.07倍に有意に増大し、10間のブロックでは1.7倍に拡大した。これに対し、伝達物質の放出は12時間の伝導ブロックでは正常筋と有意の差が見られなかったが、24時間の伝導ブロックにより既に正常値の1.5倍に上昇した。したがって、筋の不動化に伴う神経筋伝達の機能的亢進は神経終末端の発芽形成に先行して発現し、終末端の発芽形成とシナプス機能の可塑的変化の間に因果関係は存在しないと結論された。
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[Publications] Kuno,M.;Tsujimoto,T.: Brain Signal Transduction and Memory,ed.by M.Ito & Y.Nishizuka,Academic Press. (1989)
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[Publications] Kuno,M.;Tsujimoto,T.;Umemiya,M.: Neurosci.Res.9. (1989)
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[Publications] Tsujimoto,T.;Umemiya,M.;Kuno,M.: Japanese J.Physiol.39. (1989)