1989 Fiscal Year Annual Research Report
単一心筋細胞の拍動・収縮力に及ぼす低酸素、pH、外液イオンの影響とガス交換機能
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63480114
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
土居 勝彦 山形大学, 医学部, 教授 (20002222)
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Keywords | Hypoxia / 心筋細胞膜 / ミトコンドリア膜 / O^2拡散速度係数 / 細胞内pH,Ca^<++>濃度同時測定 / Ca^<++>感受性色素Fura2 / Na@H交換輸送系 / Na@Ca交換輸送系 |
Research Abstract |
本年度の研究実施計画に示した研究はほぼ実施完了することが出来、研究全体の大筋が次第に明らかになって来た。 1.細胞内pH(pHi)とCa^<++>濃度([Ca^<++>]_i)の同時測定法の開発の完成 酵素処理により分離したラットの単一心筋細胞にpH感受性色素のBCECF-AMとCa感受性色素Fura2-AMを同時に取り込ませた後、細胞に励起光を照射することにより得られた蛍光シグナルをランダムアクセスカメラ(浜松ホトニクス、本補助金により購入)を用いて測定した。pH_i及び[Ca^<++>]_iの絶対値は、それぞれ2波長励起により得られる蛍光強度の比により算出した。この測定法により、1周期2秒以上の経時的な測定が世界で初めて可能となった。 2.単一分離心筋細胞内pHとCa^<++>の共動的動態解析の成功 細胞外液にNH_4Clを加えるとpH_iは初めに上昇を示してから次いで有意な低下があらわれ、これを除去すると回復がみられる。この時期に一致して[Ca^<++>]_iの上昇がみられた。これはNa/H/とNa/Caの両輸送系が心筋細胞にも存在し、両者が互いに関連して働いていることを示す。pH_iと[Ca^<++>]_iの共役的動態と、さらにpH緩衝機構があることも確かめられた。 3.単一分離心筋細胞のO_2拡散におけるミオグロビンの役割決定とDo_2の推定 ミオグロビンのO_2解離曲線の測定、拡散方程式の数値解析によるO_2の拡散係数の推定、およびそれらの温度依存性を検討した。その結果P_<50>は温度上昇とともに増大することが知られた。この結果は細胞の代謝亢進に対応してミトコンドリアへのO_2供給を促進させる上で有利な変化であることを示す。拡散方程式の数値解析により細胞内Do_2は1.5×10^<-6>cm^2/sec,34℃と推定することが出来た。
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[Publications] 土居勝彦,渋谷泉,松山清治,内田勝雄,加川朋子: "アシド-シスと心機能" 病態生理. 9. 869-877 (1989)
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[Publications] Uchida,K.,Matsuyama,K.,Niizeki,K.,Shibuya,I.,and Doi,K.: "Gas Kinetics in sigle isolated myocytes-role of myoglobin." Int.J.Biometeorol. 33. 203-204 (1989)
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[Publications] Matsuyama,K.,Uchida,K.,Niizeki,K.,Shibuya,I.,and Doi,K.: "Intracellular pH change in a single myocyte insolated from guinea pig ventricle." Int.J.Biometeorol. 33. 204-204 (1989)