1988 Fiscal Year Annual Research Report
高山病の発症と水・電解質代謝調節ホルモンとの関連に関する研究
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63480116
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松井 信夫 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (50023643)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 達 名古屋大学, 環境医学研究所, 助手 (80184737)
村田 善晴 名古屋大学, 環境医学研究所, 助手 (80174308)
妹尾 久雄 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教授 (40135380)
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Keywords | 高山病 / 水・電解質代謝 / ホルモン / デキサメサゾン抑制 / カルシウム・燐代謝 |
Research Abstract |
1)ヒトを被検者として低圧低温環境シミュレータを用い、減圧・滞留・復圧各2時間で模擬高度6,000mの低圧・低酸素暴露を行った。 2)低圧・低酸素負荷によりヘマトクリットの上昇後低下、尿量の減少が見られ、体液の貯留が起こることが示唆された。又血清ナトリウム、クロールの上昇とカリウムの低下が見られアルカローシスの存在が示唆された。これらの代謝変化と共に抗利尿ホルモン、アルドステロン、レニン活性、コルチゾルが何れも上昇したが、心房性ナトリウム利尿ポリペプチドには変化がなかった。即ち水の貯留、アルカローシスに抗利尿ホルモン、アルドステロンの増加が関与し、心房性ナトリウム利尿ポリペプチドは関与が無いことが示唆された。 3)低圧・低酸素負荷により血清カルシウムの上昇、燐の低下と副甲状腺ホルモンの上昇傾向、腎性cAMPの増加傾向が認められ、副甲状腺ホルモンのこれらの代謝変化への関与が示唆された。 4)1mgのデキサメサゾンを投与後、低圧・低酸素に暴露すると、コルチゾルの上昇が見られない被検者ではアルドステロン及び抗利尿ホルモンの分泌増加が認められず、コルチゾルの上昇した被検者ではアルドステロンも抗利尿ホルモンも同時に上昇した。一方血漿レニン活性は何れの被検者でも上昇した。即ち、低圧・低酸素負荷時のアルドステロンの上昇が副腎皮質刺激ホルモンに媒介されること、又抗利尿ホルモンの上昇も副腎皮質刺激ホルモンの上昇と密接な関連をもつと考えられた。又デキサメサゾン投与によりこれらホルモンの分泌が抑制された例では、水・電解質代謝の変動や自覚症状の発現が軽減した。 5)アルドステロンの腎作用を阻害するスピロノラクトンを投与すると、低圧・低酸素負荷時の血清カリウムの低下、尿中Na/K比の低下が減少し、アルドステロンが高山病の発症要因であることが裏付けられた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] N.Matsui: High-Altitude Medical Science ed.by G.Ueda,S.Kusama and N.F.Voelkel,published by Shinshu University. 137-143 (1988)
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[Publications] N.Matsui: Proceedings of XXXI International Congress of Physiological Sciences. (1989)