1989 Fiscal Year Annual Research Report
高山病の発症と水・電解質代謝調節ホルモンとの関連に関する研究
Project/Area Number |
63480116
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松井 信夫 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (50023643)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 善晴 名古屋大学, 環境医学研究所, 助手 (80174308)
妹尾 久雄 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教授 (40135380)
|
Keywords | 登山家適性判定 / デキサメサゾン抑制 / コルチゾル / 水・電解質代謝 / 抗利尿ホルモン / アルドステロン / 高地順応 / アルカロ-シス |
Research Abstract |
1)低圧・低酸素によるストレス反応が水・電解質代謝の異常を助長し高山病の発症・憎悪に関与することを報告して来たが、このストレス反応は低圧・低酸素の反復負荷や登山後に減弱するので、ストレス反応の抑制され易さにより登山家としての適性の判定を試みた・登山家20名と非登山家30名を被検者としてデキサメサゾン1 or 2mg投与下で、模擬高度6,000mの低圧・低酸素暴露を行った。1mgデキサメサゾン投与下の暴露では両群共有意なコルチゾルの上昇が見られたが、登山家の上昇が少なかった.2mgデキサメサゾン投与下では、非登山家では有意なコルチゾルの上昇が見られたが、登山家では上昇しなかった.即ち、デキサメサゾンによるコルチゾルの抑制度により登山家の適性が判断できる可能性が示唆された。コルチゾルの上昇反応とアルドステロン及び抗利尿ホルモンの上昇反応に良好な平行関係が見られた。2)低圧・低酸素負荷によるアルドステロン及び抗利尿ホルモンの分泌増加が高山病の発症に関与すると考えられるが、このホルモンの増加反応は登山後に減弱し、またデキサメゾン投与によって抑制される。そこで低圧・低酸素負荷による水・電解質代謝の変化を登山後とデキサメサゾン投与下とで比較した.尿量の減少、血清Na、C1の上昇、血漿抗利尿ホルモン、アルドステロン、コルチゾン等の上昇は登山後でもデキサメサゾン投与でも減弱した。しかし、血清Kの低下反応は、デキサメサゾン投与では減弱したが、登山後には登山前より増強した.即ち、登山後には、内分泌系の反応は、登山による順応の為減弱し、代謝変化も少なくなるが、呼吸器系の機能の増強により呼吸性アルカロ-シスが強くなり、Kの低下が増大したものと思われる。この結果は高地住民が低地居住後再び高地へ戻った時高山病が多発することを良く説明する。 以上、登山家の適性判定及び高地順応の機序に関し有用な成績を得た。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] N.Matsui: "Easier suppression by dexamethasone of hormonal responses to high altitude exposure in mountaineers." Proceedings of the international union of physiogical sciences. XVII. 109 (1989)
-
[Publications] N.Matsui: "Adaptation to high altitude in man:The role of the endocrine system on water and electrolyte metabolism." Environmental stress ed.by O.Manninen,M.Hallial and R.Manninen published by Shinshu University. 137-143 (1989)
-
[Publications] 山本親: "内分泌系の変動から見た高地順応のメカニズム" 環研年報. (1990)