1988 Fiscal Year Annual Research Report
神経性ペプチドおよびアミノ酸の中枢性血圧調節への関与
Project/Area Number |
63480121
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
古川 達雄 福岡大学, 医学部, 教授 (60078582)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 勝士 福岡大学, 医学部, 助教授 (00037491)
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Keywords | アンジオテンシン / タウリン / ギャバ / 視索前野 / 高血圧 |
Research Abstract |
ラットを用い、慢性的に植え込んだカテーテルより無麻酔・無拘束で血圧の絶対値を測定できるようにし、1.アンジオテンシンII(AII)の存在が認められている脳内各部位に投与すると、AIIの同受容体を介する中枢性血圧上昇作用は、視索前野で最も強く、次いで視交叉上核で、扁桃体中心核、傍室核は作用部位ではない。2.このAII受容体の中枢性昇圧の反応性は、高血圧自然発症ラット(SHR)では、視索前野で増強され、視交叉上核でも増強が認められたが有意ではなかった。3.この視索前野における増強は、SHRの血圧の上昇している8週齢では認められず、15週齢では出現した。4.タウリンまたはギャバを脳室内に投与すると用量に依存した中枢性の血圧下降が出現したが、視索前野への投与では血圧変化は認められなかった。5.これら神経性アミノ酸を中枢性前投与し血圧変化が回復した後にAIIを視索前野に投与すると、AIIの昇圧はアミノ酸の視索前野前投与では影響をうけないが、脳室内前投与で拮抗された。6.このような拮抗は末梢投与では認められなかった。7.全身投与によりギャバは血液脳関門を通過しないが、タウリンは長期投与で脳内に増加する。SHRで6から15週齢まで3%タウリン水を自由に摂取させると、SHRの視索前野におけるAIIの反応性増大の異常はほぼ正常に近く回復された。8.まとめ:AIIの中枢性昇圧作用の作用点としては視索前野がもっとも重要で、同部位の反応性はSHRでは異常に亢進する。この亢進は高血圧発症の直接の誘因ではないが、高血圧の維持に与かるものと考えられる。タウリンおよびギャバは中枢性降圧作用を有して、AIIの昇圧作用に拮抗し、この拮抗部位は視索前野ではない。またタウリン経口長期投与は、視索前野のAII受容体反応の異常亢進を抑制する。
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Research Products
(1 results)