1990 Fiscal Year Annual Research Report
神経性ペプチドおよびアミノ酸の中枢性血圧調節への関与
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63480121
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
古川 達雄 福岡大学, 医学部, 教授 (60078582)
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Keywords | アンギオテンシンII / 心房性ナトリウム利尿ペプチド / 水・食塩摂取 / 視索前野 / 高血圧自然発症ラット |
Research Abstract |
無麻酔・無拘束のWistarーKyotoラット(WKY)ならびに高血圧自然発症ラット(SHR)を用い、1)14週齢において、angiotesin II(AII)の視索前野投与により、著明な水・高張食塩水(2.7%NaCl)摂取が誘発され、この作用はSHRで著明であった。同量のAIIの静脈内投与で水・食塩摂取に変化は認められないことから、これはAIIの中枢作用にもとづくものである。このAIIの中枢作用はatrial natriuretic peptide(αーhAMP)の視索前野前投与により、WKYでは影響されず、SHRでは著明に抑制された。SHRでの視索前野へのreninの投与でも水・食塩摂取が促進され、本促進もαーhANPの視索前野前投与により水摂取が著明に抑制された。2)48時間絶飲食により水・高張食塩水摂取が促進され、本促進は特にSHRで著明であった。本促進はαーhANPの視索前野投与により、WKYでは抑制されなかったが、SHRでは抑制された。3)このようなαーhAMPの抑制作用は、扁桃体中心核への投与では認められなかった。4)αーhANPのフラグメントでアミノ酸15ケよりなるαーrANP(4ー23)amideの視索前野投与では、抑制作用は現われなかった。5)SHRでαーhANPの視索前野投与で自発運動に変化は認められなかったことから、αーhANPによる飲水行動の抑制は、自発運動抑制作用にもとづくものではない。6)以上の結果から、AIIの中枢性の水・食塩摂取促進に対し、視索前野は重要な作用部位で、本部位におけるAIIの反応性はSHRで増強され、このAIIの中枢作用にANPは拮抗し、この拮抗はSHRでのみ認められる。これらの部位におけるAIIおよびANPの反応性の異常、ことにAIIの反応性増強が高血圧の発症・維持に関与する可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Kazuhiko Shibata,Masayoshi Sakimura and Tatsuo Furukawa: "Inhibition of angiotensinーinduced central pressor response by αーhuman atrial natriuretic polypeptide at the preoptic area and the posterior hypothalamus in rats." Neuropharmacology.
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[Publications] Kazuhiko Shibata,Masayoshi Sakimura and Tatsuo Furukawa: "Antidipsogenic action of αーhuman atrial natriuretic polypeptide at the preoptic area in spontaneously hypertensive rats." Brain Research.