1989 Fiscal Year Annual Research Report
オルニチン脱炭酸酵素アンチザイムー本態、役割、調節、ならびに比較生化学
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63480131
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Research Institution | The Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
林 伸一 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (50028297)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松藤 千弥 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (50192753)
村上 安子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教授 (30056709)
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Keywords | オルニチン脱炭酸酵素 / アンチザイム / cDNA / mRNA / フレ-ムシフト / 翻訳調節 / 半減期 / ポリアミン |
Research Abstract |
アンチザイムはオルニチン脱炭酸酵素(ODC)の反応生成物ポリアミンによって誘導されるODC阻害蛋白質であり、さらにODCの迅速な分解に引金になる可能性が注目されている。2年目の本年度は下記の成果をあげることができた。 (1)アンチザイムmRNAの塩基配列ー新たにクロ-ン化したcDNAおよびゲノムDNAの塩基配列解析の結果、ラット肝アンチザイムは227個のアミノ酸から成る蛋白質であること、またアンチザイムmRNAの翻訳には真核生物では稀有の現象であるフレ-ムシフトを伴うことが強く示唆された(松藤)。 (2)アンチザイムmRNAの組織分布ーノ-ザンブロット解析により、ラット諸組織に1.3Kbの長さのアンチザイムmRNAがかなり大量に分布し、その半減期は約12時間と長く、ポリアミン投与によっても量の変動がないことから、アンチザイムの誘導は翻訳促進によることが支持された(松藤)。 (3)アンチザイムの役割ーポリアミンによるODC分解加速にアンチザイム誘導が関与することを支持する下記の成績を得た。1)エメチン、パクタマイシンなどアンチザイム誘導を抑える阻害剤はODCの分解加速をも抑え、エチオニン、5ーフルオロトリプトファンなどアンチザイム誘導を抑えないアミノ酸誘導体はODC分解加速をも抑えなかった。2)ODC過剰生産CHO細胞からアンチザイム過剰生産変異細胞を作成して、遊離ならびに複合ODCの半減期を検討した結果、遊離ODCはアンチザイムとの複合体を経由して分解することが示唆された(村上)。 (4)カエルのアンチザイムーカエルでもポリアミンによるアンチザイム誘導とODC分解加速があることを確かめた(林、村上)。
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[Publications] Y.Murakami: "Involvement of antizyme in stabilization of ornithine decarboxylase caused by inhibitors of polymine synthesis." Eur.J.Biochem.180. 181-184 (1989)
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[Publications] Y.Murakami: "Properties and fluctuations in vivo of rat liver antizyme inhibitor." Biochem.J.259. 839-845 (1989)
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[Publications] S.Matsufuji: "Monoclonal antibody studies on the properties and Regulation of murine ornithine decarboxylase antizymes." J.Biochem.107. 87-91 (1990)
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[Publications] S.Hayashi: "Ornithine Decarboxylase:Biology,Enzymology,and Molecular Genetics" Pergamon Press, 147 (1989)
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[Publications] S.Matsufuji: "Distribution and properties of ornithine decarboxylase antizyme.In S.H.Goldemberg and I.D.Algranati(eds.)The Biology and Chemistry of Polyamines." IRL Press,Oxford, 81-90 (1989)