1988 Fiscal Year Annual Research Report
有毒レクチンリシンを含む細胞選択性ハイブリッドタンパク質の調製とその応用研究
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63480138
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
石黒 正恒 長崎大学, 薬学部, 教授 (90038274)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榊原 隆三 長崎大学, 薬学部, 助教授 (30127229)
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Keywords | ハイブリッドタンパク質 / ヒト繊毛性ゴナドトロピン(hCG) / リシンA鎖 / ホルモンアナログ / ライディヒ細胞 / タンパク合成阻害 / CAMP / テストステロン産性 / 情報伝達機構 / ホルモンレセプター |
Research Abstract |
ヒト繊毛性ゴナドトロピン(hCG)-リシンA鎖ハイブリッド--妊婦尿から純化したhCGを二官能反応試薬SPDPと反応させたのち還元リシンA鎖とS-S交換反応を起こさせることで、hCG1分子当り2〜3個のA鎖を含むハイブリッドタンパク質(hCG-A)を調製した。このhCG-A標品はラットライディッヒ細胞に対して、hCGと同等のテストステロン産生能を示し、ホルモンアナログとしてホルモン作用発現機構の解析に用いることが可能であった。即ち、hCG-Aは標的細胞に対してhCGと同等の結合能を示したことから、hCGレセプターを介して結合すること(〜30分以内)、さらにhCG-Aによる細胞アデニル酸シクラーゼの活性化に伴なうCAMPの産生の増加は同等であるがhCGと比べて遅れて発現されたことと、同時に測定したテストステロン産生量はhCGの場合と同じであった(〜2時間以内)。また細胞をhCG-Aで処理することで、細胞内タンパク合成の阻害が認められた(〜8時間)。これらの結果は、hCG-Aが標的細胞の細胞膜上のhCGレセプターを介して結合したのち、膜アデニル酸シクラーゼを活性化する能力があること、およびhCG-Aはその後細胞内に移送されて、何らかの機構でA鎖が遊離され、そのA鎖によって細胞内タンパク合成の阻害が起ったことが示唆された。即ち、hCGでは見ることが出来なかった2つの特異な現象-(1)hCGは細胞内に移送されること、(2)hCGの細胞元の結合でCAMPが上昇し、テストステロン産生も増大する現象に関して、hCG-Aにおいて最大のテストステロンを産生させるに要するCAMP量はhCGの約1/2で充分であった。これらの実験結果はhCGによるホルモン作用の発現には、まずホルモンの細胞元の結合、引きつづいてCAMP経由および他のシグナル伝達機構によって細胞内でのテストステロン生産が増加する可能性を示した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] A.Sakai;R.Sakakibara;M.Ishiguro.: Journal of Biochemistry. 105. 275-280 (1989)
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[Publications] M.Ishiguro;Y.Shintaku;A.Sakai;R.Sakakibara.: Chemical 4 Pharmaceutical Bulletin. (1989)
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[Publications] M.Ishiguro;H.Nakashima;S.Tanabe;R.Sakakibara.: Chemical 4 Pharmaceutical Bulletin. (1989)