1988 Fiscal Year Annual Research Report
ブドウ球菌細胞溶解毒素の分子構造解析と細胞膜障害情報伝達機構の研究
Project/Area Number |
63480150
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
加藤 巌 千葉大学, 医学部, 教授 (40012702)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畝本 力 千葉大学, 薬学部, 教授 (30089601)
神尾 好是 東北大学, 農学部, 助教授 (00109175)
盛永 直子 千葉大学, 医学部, 助手 (20092108)
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Keywords | ブドウ球菌α毒素 / ロイコシジンS成分 / ロイコシジンF成分 / ホスホリバーゼA_2 / ホスホリパーゼC / ホスファチジルコリン / ホスファチジルイノシトール / NAD |
Research Abstract |
1.ブドウ球菌の毒素の細胞膜ホスホリパーゼA_2及びC活性促進作用:ウサギ白血球膜に^<14>C-パルミチン酸標識ホスファチジルコリン(PC)との毒素を加えて37℃で保温、3分後に分解された^<14>C-パルミチン酸を測定するとホスホリパーゼA_2(PLA_2)活性は対象の2倍促進した。さらにNADとGTPを加えるとPLA_2活性は相乗的に対象の5倍増加した。ウサギ赤血球膜に^<32>Piとの毒素を加え37℃に保温、30秒後の膜内ホスファチジルイノシトール(PI)代謝系ホスファチジン酸(PA)への^<32>Pi取り込み放射能が対照の2倍増加し、さらにNADを加えたとき10倍に増加した。以上のことからの毒素はPI代謝系ホスホリパーゼC(PLC)活性をNADによって、さらに促進される新知見をえた。 2.ブドウ球菌ロイコシジンS及びF成分のウサギ白血球膜ホスホリパーゼ活性化:ロイコシジンS成分はウサギ白血球膜PLA_2活性を促進し、F成分はPLC活性を亢進、両成分ともNAD存在によって相乗的促進効果がみられた。 3.ロイコシジンS及びF成分の分子構造解析:精製S及びF成分のアミノ酸配列をN末端から決定、ブドウ球菌染色体DNAを精製し、制限酵素で切断、3Kb断片を取り出しPUC8ベクターを使用してコロニーイイブリダイジエション法により両成分遺伝子スクリーニングを神尾(東北大)が研究を進めている。 4.ヒト白血球HL-60細胞と分化細胞に対するロイコシジン感受性の比較:HL-60細胞をDMSO_4処理による顆粒細胞はロイコシジン感受性が高く、HL-60細胞をphorbolエステル処理によるマクロファージ様細胞はロイコシジンに対して抵抗性が大きく、その相違を生化学的に解析している。
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[Publications] Kato,Iwao;Morinaga,Naoko;Muneto,Reiko: Microbiol.Sci.5. 53-57 (1988)
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[Publications] Morinaga,Naoko;Nagamori,Michiko;Kato,Iwao: Infect.Immun.56. 2479-2483 (1988)
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[Publications] 野田公俊、加藤巌: 日本細菌学雑誌. 44. 87 (1989)
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[Publications] 宮崎祐子,野田公俊、加藤巌: 日本細菌学雑誌. 44. 267 (1989)
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[Publications] 王夏、野田公俊、加藤巌: 日本細菌学雑誌. 44. 268 (1989)
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[Publications] 盛永直子、加藤巌、野田公俊: 日本細菌学雑誌. 44. 269 (1989)
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[Publications] 加藤巌 編: "生物トキシン-医学、生物学への応用" 株式会社学会出版センター, 1-227 (1988)
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[Publications] 加藤巌、内田驍 編: "ADPリボシル化毒素とその標識分子" 菜根出版, (1989)