1988 Fiscal Year Annual Research Report
腸管感染原因菌の産生する細胞破壊毒の病原性の分子生物学的解析
Project/Area Number |
63480154
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
三輪谷 俊夫 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (60029759)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
余 明順 大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (70093482)
有田 美知子 大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (10127178)
山本 耕一郎 大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (30158274)
辻 孝雄 大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (60171998)
本田 武司 大阪大学, 微生物病研究所, 助教授 (60029808)
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Keywords | 細胞破壊毒(cytolysin,cytolytic toxin) / 腸炎ビブリオの耐熱性溶血毒(vp-TDH) / 耐熱性溶血毒類似毒素(Vp-TRH) / 腸管感染原因菌の病原因子 / 神奈川現象 / 細菌性溶血毒 / 毒素産生遺伝子 / アミノ酸一次構造 |
Research Abstract |
腸炎ビブリオのVp-TDH、Vp-TRHおよびエルトールコレラ菌の細胞破壊毒の構造遺伝子もdh1、tdh2、trhおよびhlyAのクローニングに成功し、これらの量産体制を確立すると共に塩基配列を決定し、精製毒素蛋白のアミノ酸一次構造を比較検討した結果全く一致することを確認した。この研究の過程で、hlyA蛋白はAla_<25>ーAsn_<26>の間でシグナルペプチドが切断されて不活性な前駆体(protoxin)として菌体外に放出され、さらにAla_<157>ーAsn_<158>の間で2回目の切断を受けて活性のある60K成熟毒素になることを証明した。Vibrio holisaeのVp-TDH類似毒素Vh-rTDHのアミノ酸一次構造も決定し、Vp-TDHと同様165コのアミノ酸残基からなりCrs_<151>とCys_<161>の間でーSーSー結合しているが、23コのアミノ酸残基が異なっていることを明らかにした。 Vp-TDHとVp-TRHの単クロン抗体を作製し、両者何れにも反応するクロンとそれぞれに特異的に反応するクロン、溶血活性を中和するクロン、中和しないクロンを多数分離することができ、毒性発現機構解析のための強い足掛かりをうることに成功した。また、両者の分子構造を比較すると、塩基配列では68%強、アミノ酸残基では63%の相同性があり、何れもウマの赤血球は溶血しないが、他の動物種によってかなり溶血活性に違いがあることがわかった。 高度に精製したV.metschnikoviiの溶血毒を用いてウサギ赤血球の溶血機構を解析し、赤血球膜表面で温度依存的に毒素4分子が強固に結合してtetramerを形成し、赤血球膜を貫通して穴(pore)を作ることによって赤血球膜の透過性を変化させ、イオンの流出とともに水の流入が起こり赤血球は膨満して溶血が起こることを明らかにした。Ni^<++>などの一部の二価金属イオンは膜表面での毒素のtetramer形成を抑制することによって溶血を阻害する。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Miyake,M.;Honda,T.;Miwatani,T.: Infection and Immunity. 56. 954-960 (1988)
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[Publications] Honda,T.;Ni,Y.;Miwatani,T.: Infection adn Immunity. 56. 961-965 (1988)
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[Publications] Katoh,T.;Honda,T.;Miwatani,T.: Microbiology and Immunology. 32. 551-564 (1988)
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[Publications] Tsuji,T.;Joya,J.E.;Yao,S.;Honda,T.;Miwatani,T.: FEMS Microbiology Letters. 52. 79-84 (1988)
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[Publications] Okamoto,K;Okamoto,K.;Miyama,A.;Tsuji,T;Honda,T.;Miwatani,T.: Journal of Bacteriology. 170. 2208-2211 (1988)
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[Publications] Kongmuang,U.;Honda,T.;Miwatani,T.: Infection and Immunity. 56. 2491-2494 (1988)
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[Publications] 三輪谷俊夫,本田武司,杉本央: "最新医学、43:生物トーキシンー研究の動向と医学:生物学への応用・生物トキシンによる疾病の予防、診断、治療" 最新医学社, 1157-1161 (1988)
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[Publications] 三輪谷俊夫,本田武司,山本耕一郎: "感染・炎症・免疫、18:感染性下痢原因菌研究の最近の知見" 医学の門社, 155-168 (1988)