1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63480155
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Research Institution | Nigata University of Phermacy and Applied Life Sciences |
Principal Investigator |
多村 憲 新潟薬科大学, 薬学部, 教授 (50027314)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大橋 典男 新潟薬科大学, 薬学部, 助手 (10169039)
鶴原 喬 新潟薬科大学, 薬学部, 助教授 (40100086)
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Keywords | リケッチア・ツツガムシ / 病原因子 / 表在性主要蛋白の精製 / アミノ酸組成 / N-末端アミノ酸配列 |
Research Abstract |
我々のこれまでの研究から、(1)Rickettsia tsutsugamushiには従来より知られているGilliam、Karp、Kato型の他に、Shimokoshi、Kawasaki、Kuroki型のような血清型が存在すること、(2)これらの血清型はリケッチア表面に存在する54-56K(キロダルトン)蛋白の型特異的抗原性によること、(3)一方このリケッチアにはマウスに対して異なる病原性を示す株が存在すること、(4)Gilliam、Karp、Kato型以外のリケッチアはすべてマウスに対して弱毒性を示すこと、を明らかにした。このことから54-56K蛋白の構造の差異がこのリケッチアの病原性の強弱に関与している可能性が示唆され、この蛋白の病原因子としての機能を明らかにするために、本研究ではまずこの蛋白の精製に着手した。 その結果、精製したリケッチアを出発材料として、0.01%サルコシル処理して表面性蛋白分画を採取し、これをSDSで可溶化後、TSKG-3000SWカラムを用いて、HPLC法によりゲル漉過し、さらに目的蛋白分画をTSK・Pheny15pWRPカラムによる逆相系HPLC法により精製したところ、高純度の54-56K蛋白の精製に成功した。精製蛋白はゲル電気泳動法で一本のバンドを形成し、純度は90%以上であった。この方法でGilliam、Karp、Katoの3株から54-56K蛋白を精製し得た。そしてそれぞれのアミノ酸組成を比較したところ、それは3者ともほぼ類似していた。また3株から54-56K蛋白のN-末端アミノ酸配列(末端から35番目まで)を比較したところ、6ケ所でアミノ酸置換及びKarp株の場合1ケ所のアミノ酸の欠落が見られたが、他の部分のアミノ酸は3株とも同じであった。このことは54-56K蛋白は株間で類似するが、アミノ酸配列に特異的な差異も存在することを実証する初めての知見である。今後はマウスに対する強毒性と弱毒性の間でのこの蛋白の構造の差異を明らかにして行きたい。特にこの蛋白の遺伝子のクローニングなどによる遺伝子解析が必要と考えている。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 多村、憲: 日本細菌学雑誌. 43. 629-639 (1988)
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[Publications] Urakami,Hiroshi: Microbiol.Immunol.32. 967-972 (1988)
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[Publications] 浦上、弘: 感染症学雑誌. 62. 931-937 (1988)
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[Publications] Tamura,Akira.: Microbiol.Science. 5. 228-232 (1988)
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[Publications] Ohashi,Norio.: Microbiol.Immunol.32. 1085-1092 (1988)
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[Publications] Ohashi,Norio.: Infect.Immun.57. (1989)
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[Publications] 多村、憲: "医学細菌学3巻 Rickettsia tsutsugamushiの構造、増殖、感染" 菜根出版、三輪谷俊夫監修、中野昌康、吉川昌之介、竹田美文編, 175-202 (1988)