1989 Fiscal Year Annual Research Report
インフルエンザウイルス血球凝集素のレセプタ-結合部位及び細胞レセプタ-の構造解析
Project/Area Number |
63480157
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中島 捷久 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (40012778)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
信沢 枝里 財団法人東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (90183904)
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Keywords | インフルエンザウイルス / 血球凝集素 / レセプタ-結合領域 / シグナルペプチド |
Research Abstract |
インフルエンザウイルス血球凝集素(HA)の異なる抗原型をもつ、H4、H6、H8、H9、H11、H12、H13の7つのHA遺伝子についてクロ-ニングを行ない、塩基配列を決定した。そして1〜13のサブタイプのHAタンパク質のアミノ酸の性質を比較検討した。その結果、(1)13のサブタイプは全体のアミノ酸の比較から大きく2つのグル-プに分けられる。HIグル-プにはH1、H2、H5、H6、H8、H9、H11、H12がH3のグル-プにはH3、H4、H7が属している。グル-プ内におけるアミノ酸の類似性はそれぞれ75〜50、66〜50%であった。このグル-プ分けは細胞膜結合領域においても反映されていた。現在13グル-プの系統樹を作成中である。(2)HAの4つの機能ドメイン:シグナルペプチド、レセプタ-結合領域、膜融合活性部位、細胞膜結合部位を比較すると、シグナルペプチドは13サブタイプにおいて大きく変化しており、特定のアミノ酸配列の保存はみられなかった。レセプタ-結合領域や膜融合活性部位は高度に保存されていた。細胞膜結合部位はいくつかのアミノ酸の保存がみとめられた。(3)H3HAにおいては、226番目のアミノ酸の性質によってシアル酸とグルコ-スとの結合様式α-2.3とα-2.6が識別される。種々のオリゴ糖を用いて、レセプタ-特異性を他のサブタイプにおいて検討したが、レセプタ-認識と226番目のアミノ酸の種類において特異的な差は見い出されなかった。
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