1988 Fiscal Year Annual Research Report
温度感受性変異レトロウイルス株を用いたT、B細胞分化誘導機構の解析
Project/Area Number |
63480166
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
竹森 利忠 千葉大学, 医学部, 助教授 (60114295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
重本 和宏 東京都老人総合研究所, 基礎病理, 研究員 (00192104)
田川 雅敏 千葉大学, 医学部, 助手 (20171572)
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Keywords | 胎生期胸腺内B前駆細胞 / 胸腺由来未分化造血細胞株 / V遺伝子発現におけるプログラム / μ鎖複合体とシグナル伝達 / 幼若B細胞特異遺伝子 |
Research Abstract |
免疫系細胞の分化拘束及び分化の機序を分子・遺伝子レベルで明らかにするために、Abelsonマウス白血球ウイルス(A-MuLV)由来の温度感受性(ts)変異株を用いて、種々の分化段階に属する細胞株を確立した。確立された細胞株に人為的分化を導入し、細胞の性状を解析した結果、以下の新たな知見を得た。 (1)胎生期胸腺にB前駆細胞が高頻度で存在することを初めて明らかにした。またts-A-MuLVを用いて胸腺由来B前駆細胞株クローンを確立した。 (2)ネズミ胎児胸腺よりts-A-MuLVを用いて、多様な分化能を保持すると思われる未分化造血細胞クローンを確立した。このクローンの一部は胸腺内への投与で、T、B細胞マーカー陽性細胞へと分化した。一方、このクローン由来の多くのサブクローンは、IL-1存在下での培養で増殖が抑制され、マクロファージ様細胞へと分化した。 (3)すでに確立された幼若リンパ球クローンを用いて、免疫グロブリン遺伝子発現様式が分化の初期に決定される可能性を示唆する新しい知見を得た。 (4)前B細胞およびvirginB細胞で発現されるμ鎖が、今まで未知の蛋白分子群と結合して、細胞表面に表現されることを初めて明らかにした。このμ鎖複合体は、シグナル伝達レセプター分子として作用するが、通常のμkあるいはμλで構成されるIgレセプターとは異なり、細胞内Ca^<2+>代謝の上昇を誘導するが、ホスファチジールイノシトール代謝の上昇を誘導しないことが示された。 (5)幼若Bリンパ球特異的な発現様式で発現される未知の遺伝子の単離に成功した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] H.Kimoto;T.Shirasawa;H.Taniguchi;T.Takemori: European Journal of Immunology. (1989)
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[Publications] I.Miyazoe;M.Taniguchi;T.Takemori: Microbiology and Immunology. 32. 607-620 (1988)
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[Publications] T.Takemori;J.Mizugudi;I.Miyazoe;K.Shigemoto/et al.: EMBO Jounal.