1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63480167
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
高橋 守信 金沢大学, がん研究所, 教授 (80019877)
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Keywords | 補体遺伝子 / 転写調節 / CATアツセイ / mRNAの安定性 |
Research Abstract |
1.補体第4成分(C4)産生異常の分子機構:高産生系マウス(B10)と低産生系マウス(B10.BR)から、相補DNAと遺伝子DNAのライブラリーを作製し、C4特異クローンを分離した。相補DNAクローンは、3′末端から3.5Kb長で、決定したDNA配列について、比較を行っている。遺伝子DNAクローンについては、5′上流配列の比較検討と、その転写プロモーター活性の比較を、CATアツセイによって行った。その結果では、両マウス系統のC4遺伝子の転写活性には、差異は認められなかった。両系統のC4遺伝子の、in vivoでの転写活性の比較は、それぞれの系統マウスの肝細胞核中のRNAを測定するnuclear run-onアツセイによって行った。in vivoにおいても、C4遺伝子の転写活性に違いはみられなかった。C4mRNAの安定性を比較するために、両系統マウスの肝細胞の短期培養を行い、アクチノマイシンDによってRNA合成を停止させておいて、C4特異RNAの消長を比較した。高産生系マウスに比べて、低産生系マウスでは、著るしいC4mRNAの低下がみられた。これらの結果から、C4の産生異常は、転写レベルの異常によるものではなく、mRNAの不安定性によるものであることが明らかになった。 2.C4遺伝子の転写調節を行うと思われる結合因子の同定:C4遺伝子と、それと相同性の高いSlp遺伝子は、転写活性に大きな差異がある。本年度の研究によって、この差異は、プロモーター領域を含む、0.4Kbの配列に由来することが決定された。また、HepG2細胞(ヒト肝癌由来培養細胞)や、マウス肝細胞の核には、C4遺伝子のこの領域に結合する因子が存在することが、ゲルシフトアツセイによって証明された。この因子が結合する配列は、MHCクラスエ(Hー2)やILー6のプロモーター領域の配列との相同性が高く、C4遺伝子の転写を促進する役割を果していると思われ、現在、検討中である。
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Research Products
(1 results)