1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63480170
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
西村 泰治 九州大学, 生体防御医学研究所, 助教授 (10156119)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 彰方 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (60161551)
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Keywords | CD5分子 / IL-1 / IL-1受容体 / T細胞レセプター / CD3複合体 / Jurkat細胞株 / 欠損変異株 / 組み換えレトロウィルス / T細胞活性化 |
Research Abstract |
ヒトCD5(Leu1,T_1)分子は、胸腺細胞および未梢血T細胞の大部分および一部のB細胞に発現されているが、その機能は解明されていない。抗CDS単クローン抗体(mAb)あるいはインターロイキン1(IL-1)は、至適濃度以下のマイトジェンあるいはT細胞レセプター・CD3複合体に特異的なmAbにより誘導されるT細胞増殖反応を増強する作用がある。我々はヒト静止型T細胞のモデルと考えられるT細胞性白血病細胞株Jurkatより、固相に固定された抗CD3mAbによりIL-2産生を開始し、さらに抗CD5mAbあるいはIL-1の存在下にIL-2産生を増強するサブクローンを分離した。この野生株を突然変異原であるEMSで処理し、抗CD5mAbおよび家兎補体でCD5陽性細胞を傷害し、さらにFACSを用いてCD5陰性細胞を分離した後、限界希釈法によりCD5欠損変異株クローンを樹立した。この変異株は、イオノマイシンおよびPMAによる刺激では野生株と等量のIL-2を産生したが、固相に固定した抗CD3mAbで刺激した場合、抗CD5mAbのみならずIL-1によるIL-2産生増強作用も認められなかった。この変異株に再びCD5を発現させる目的で、CD5cDNAで組み換え、NeO〓性遺伝子を有したレトロウィルスベクターを作製した。これを染色体DNAに不完全なレトロウィルスの構造遺伝子を有するイヌ線維芽細胞に形質導入し、これとCD5欠損Jurkat変異株を共培養した後、G418で選択培養し、CD5再発現株クローンを得た。このCD5再発現株は、抗CD5mAbのみならずIL-1に対する反応性をも回復した。放射性ヨードで標識したリコンビナントIL-1βは、CD5陽性細胞にはよく結合したが、CD5欠損変異株での結合は低下しておりこれはIL-1受容体数の減少によるものと考えられた。以上より、CD5分子はIL-1の受容およびこれに続くT細胞の活性化に重要な機能を有していることが明らかとなった。今後、CD5分子とIL-1受容体との関係を研究することは重要な研究課題である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Nishimura,Y.;Bierer,B.E.;Burakoff,S.J.: J.Immunology. 141. 3438-3444 (1988)
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[Publications] Nishimura,Y.;Bierer,B.E.,Jones;Jones, W.K.;Jones,N.H.;Strominger,J.L.;Burakoff,S.J.: T cells.Eur.J.Immunol. 18. 747-753 (1988)
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[Publications] Bierer,B.E.;Nishimura,Y.;Burakoff,S.J.;Smith,B.F.: J.Clin,Invest.81. 1390-1397 (1988)
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[Publications] Sasazuki,T.;Kikuchi,I.;Hirayama,K.;Matsushita,S.;Ohta,N.;Nishimura,Y.: Immunology. (1989)
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[Publications] 西村泰治: "代謝病ハイライト CD(T3)複合体" 中山書店, 385-389 (1988)
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[Publications] 西村泰治: "Medical Immunology 第16巻 ヒト細胞における付着分子" 国際医書出版, 561-568 (1988)